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「よくぞ参った。 精霊ルビスに選ばれし勇者、アイリ殿。」 『聖なる祠』は1人の神官によって守られており、 内部は神聖な空気に包まれていた。 勇者アイリは、『太陽の石』と『雨雲の杖』を神官に渡す。 『聖なる守り』は、彼女の首に掛けられている。 神官は、祭壇に2つの神器を置くと、アイリを祭壇前まで促した。 アイリが祭壇に近づくと、『聖なる守り』が輝き出し、祠内部を明るくする。 仲間達は、その様子を黙って見守った。 「今こそ、太陽と雨の合わさる時……!!」 神官が心を込めて唱えると、『太陽の石』と『雨雲の杖』が祭壇から消え、 変わりに『雫(しずく)』型の宝石が残った。 「これは……?」 後に残った宝石を手に取り、アイリはその正体を問う。 すると、神官は静かな表情で答えた。 「『虹の雫』です。 これで『ゾーマの城』の結界が解けるでしょう。 そして聖なる虹の橋を掛け、貴女方を『ゾーマの城』へ導いてくれるでしょう。」 __これが有れば、『ゾーマの城』へ行ける……!! アイリは、『虹の雫』を握り締めた。 その宝石は水を滴らせたような滑らかな手触りで、虹色に輝いている。 ……だが、『ゾーマの城』の結界が解けるとはいえ、 大魔王ゾーマが倒せるかといえば、全くの別問題である。 しかも、ゾーマは『勇者サイモンの魂』を吸収し、更に強大な力をつけていた。 大魔王の次の標的は『勇者オルテガ』と『勇者アクシズ』である。 今のところ、2人が吸収されたという情報は聞いていない。 おそらく、まだ無事なのであろう。 しかし……。 今後一切、勇者達が『ゾーマの城』内部で死ぬことは、許されないのである……!! |
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