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リムルダール地方。

『ゾーマの城』の『結界』が侵入の邪魔をし、途方に暮れていた勇者オルテガは、
一旦『リムルダールの町』を離れ、リムルダールとマイラを繋ぐ工事中の洞窟の前に居た。
もちろん、ダイラスには内緒にしている。
……と、見慣れた人影にオルテガは驚愕する。

「アクシズ君……!!」

勇者アクシズは自ら仲間と離れ、ココまで来ていた。
オルテガは、慌てて彼の所に駆け寄る。
「どうした?
 まさか、私を追ってきたのか!?」

「オルテガさん。
 記憶の方は……?」
アクシズから意外な質問がきた為、一瞬唖然としたが。
「いや。まだだ。
 きっと、誰かが私の記憶を消したか封じたのだろう……。」
と、答えた。
オルテガは、記憶喪失の不審さに気付いていたらしい。

「やっぱり、そうでしたか……。」
アクシズは、頷いて納得すると、
彼に『記憶が消されているらしい情報』を教えた。
その中には、勇者アイリのことも入っている。

「そうか……。
 私の娘・アイリが勇者として旅をしているというのか……。」
オルテガは記憶の中では思い出せないが、そんな大事な事を忘れていた自分を恥じた。

「失礼な話かもしれません。でも、聞いて下さい。
 俺は、貴方の娘、アイリを心から愛しています。
 どうしても、彼女をゾーマと闘わせたくない……!!」

真剣な強い表情で、はっきり宣言するアクシズに、
オルテガは一瞬戸惑ったが、彼の迷いの無い瞳を目にして深く頷いた。

「わかった……。
 アクシズ君。
 一緒に行こう!!!!」

お互い、守る者は同じである。
同じ勇者として倒すべき相手も同じだった。

勇者アクシズは、父・サイモンに代わって、
勇者オルテガとの約束を果した。
共に、大魔王と闘うという約束を……!!


アレフガルド中央に位置する『ゾーマの城』。
勇者達の行動を見ていた大魔王ゾーマは、笑いを堪え切れなかった。

『さて、[勇者]2人の為に[結界]を開けておいてやるとしようか……。』

ゾーマが右手を翳すと、『結界』一部分がゲートの様に開き、
リムルダール側に『闇の橋』が掛けられた。

勇者アクシズと、勇者オルテガが島の中に入れるように……。

更に2つの『勇者の魂』を手に入れる為に……。
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