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勇者2人は、無事『ルビスの塔』最上階に到着した。 だが、賢者ディートは、僧侶リオが焦れている時間が長かったらしく、 一向に昇ってこない……。 「リオって、確か『高所恐怖症』だったのよね……。 私も随分彼女には手を焼いたもの。」 アイリは苦笑して言った。 とにかくリオは塔からの『飛び降り』が嫌いらしい。 「でもまあ、待っているのも何だから、先に復活だけ済ませておこう。」 アクシズは、アイリから『最後の鍵』を受け取ると、 巨大な扉の錠を開けた。 ぎいぃぃぃぃぃ……。 地上界・世界大戦前に建てられた塔だ。 内部はかなり古く、金属部分は錆付いている。 ……と、2人が入った後突然扉が閉まってしまう!! 2人は慌てたが、外から鍵を掛けられてしまった。 亡きサタンに忠実な部下が、勇者達を閉じ込めてしまったらしい。 アクシズは嘆息し、項垂れた。 「……ったく、いったいどこまで慕われているんだか、 アイツ(サタン)は……。」 どうせ、外から鍵を掛けられていても、 ディートが開錠呪文『アバカム』を覚えている。 カンダタやエルマが来てくれても出られるだろう……。 ……と、アイリが居ない。 慌てて彼女を探す。 部屋の奥にその姿を見つける。 「これって、ルビス様……?」 前方の等身大の美しい女神像に見惚れ、勇者アイリは言った。 次に彼女は自らの手に握られた『妖精の笛』に視線を移す。 __『結界』を解く為の、最後の神器がココにある……!! 感慨に耽っていると、勇者アクシズが彼女の隣まで近づいてきた。 「吹かないのか?」 心配そうに見つめる。 ……と。 アイリは、アクシズの首に腕を回し、ひし……と抱きついた。 「……ありがとう。……今まで助けてくれて……。」 一瞬呆然となる彼に向かって微笑むと、 彼女は身を離し、『妖精の笛』を吹き鳴らした。 何処で覚えた訳でもない美しい旋律が流れ、石像が輝き出す。 石像から放射される光は次第に強くなり、塔全体が光に包まれた。 女神像が次第に赤みを帯び出し、美しい肌色になる。 やがて亜麻色の髪が零れ落ち、美しい蒼い瞳が開かれた。 超越した気品と美しさに圧倒され、勇者2人は言葉を失った。 『私は、大地の精霊ルビス。 アイリ。 貴女がゾーマを倒した暁には、何かお礼をしましょう……。』 女神は、アイリを見つめ微笑んだ。 |
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