アレフガルド大陸、マイラ地方西。 ココにある塔に『精霊ルビス』は封印されていた。 それ故、この塔は詳細を知る人々から『ルビスの塔』と言われている。 ……だが。 |
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塔に突入した勇者達は、思わぬ事態に遭遇し、 一旦引き返す羽目になってしまった。 理由はこうである。 この塔は、元々『大魔王ゾーマ』自ら『精霊ルビス封印の為に』構築したもので、 聖なる力を抑える効力がある。 勇者アクシズは以前、魔王軍にここに監禁された経験があり、 塔の影響で潜在能力を封印されてしまったが、闘えない程では無かった。 ところが、勇者アイリの方はそうはいかず、 まったくの戦闘不能に陥ってしまったのである……!! 勇者達は塔の外に出た後、盗賊エルマ達とパーティを分断した。 エルマが、ここに3種の神器の1つ『光の鎧』があると言っていたからである。 女神復活側のパーティは、アイリ、アクシズ、リオ、ディートの4人だ。 その他のメンバーがアイテム収集に出ることになった。 「本当に盗賊って、『すごろく場』とかで地面を直ぐ調べちゃうから、 すぐ穴に落ちちゃうって聞いたことありますわ……。」 「あの『盗品オークション』に出ていたアイテムって、 実は盗賊たちが『すごろく場』で稼いできたものらしいですよ!?」 勇者アイリの装備品を見直す為、道具袋を漁りながらリオとディートは雑談する。 アクシズは嘆息すると、脱力して座り込んでしまったアイリに視線を移した。 彼女はこの塔にいる時は、身に着けた鎧さえも重いらしい。 もちろん、『王者の剣』すら握れない……!! 唯一の救いは、かろうじて呪文が使えそうなことであるが……。 __こんな華奢な身体の何処に、そんな能力があるのか不思議なくらいだったんだ。 今まで、『勇者の血』の力だけに殆ど頼ってきたのだろうな……。 今の勇者アイリは、殆ど『精霊ルビス』と相違ない状況になっていた。 力は普通の人間、いやそれ以下であろうか……? だが、『雨の祠』の精霊の話では『精霊ルビス』の復活は、 アイリでなければ出来ない事になっている。 __どうりで、魔王軍が俺達を放っておく訳だ……!! 大魔王ゾーマは、勇者達の弱点を衝き、塔を突破されない自信があるらしい。 魔王軍は、リムルダールで所在の確認されている、 勇者オルテガの方に気を取られていた。 「あ、これがいいですわ♪」 リオが道具袋から防具を取り出す。 だが、アイリは露骨に嫌そうな表情をした。 「そ、それ『神秘のビキニ』じゃない……!?」 「でも、守備力すご〜〜く高いのですわよ? しかも、一歩、歩くごとに回復だってしますのよ。」 「それでも、駄目!!!! ソレじゃあ、ほとんど裸じゃないの!!!! せめて、こっちにして!!!!」 気楽なリオに抗議し、アイリは『光のドレス』を出してきた。 「……。」 「残念でしたね……。」 少女2人のやり取りを目にし、思わず項垂れる男2人。 とにかく、見た目重視でアイリは『光のドレス』を装備した。 装備品選びで、かれこれ30分以上は経っている……。 4人はやっと、塔の中に入った。 |
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