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ラダトーム対岸に位置する、『ゾーマの城』

「いったい、奴ら(勇者達)は何をしとるのだ?」

空中映像から勇者達の行動を見ていた総司令官ブロス(バラモスブロス)は、
呆れてはて嘆息する。

彼等の『寄り道的な行動』まで魔王軍は監視しているのだが、
勇者アイリの方は特に『お気楽的な行動』に出る為、
たまに偵察隊を送るのすらも、馬鹿馬鹿しくなる時があるらしい……。


地上界『サマンオサ』。
闇の地下世界アレフガルドから戻ったアクシズ、アイリ、ディート、リオ、カンダタは
久しぶりに太陽光を浴びた。
しかし、まさかこんな形で帰ってこようとは……。

アクシズの実家の屋敷で、5人は盗品オークション参加の準備を整える。

準備が済み、正装したアイリとリオは、居間に急ぐ。
そこには既に正装したアクシズとディートの姿があった。
カンダタと執事ドンクも待っている。

アクシズは、大理石のローテーブルの上にドンッと金貨の入った麻袋を置く。

「取り敢えず、約半分50万G銀行から下ろして来た。
 敵は『コレクター』と『好事家』だ!!!!
 いくらでも最高金額を吊り上げろ!!!!
 奴らを許すな……!!!!」
「漢(オトコ)ですね〜〜〜〜。アクシズ……!!」
ディートは頼もしい幼馴染に、感嘆の声を出す。

たかが、オークションに『世界の命運』が懸かっているとは誰も思うまい……。

アクシズは次にカンダタを睨みつけた。
「悪かったよ。ちゃんと、『太陽の石』分の金は返すから……!!」
狼狽しながら、カンダタは項垂れる。

「アクシズ様ぁ〜〜♪
 他に欲しいものがあったら、落札していいんですの?」
リオが、瞳を輝かせ、ワクワクしながらアクシズに問いかける。
「いいぞ。」
「やった〜〜〜♪」
彼が許可すると、少女2人は手を取り合って喜んだ。
……と、いうか、アイリとリオは彼らが狼狽する位、本気で喜んでいる……。

「いいんですか?
 あんなこと言っちゃって……。
 こういう時の彼女達って、ある意味、大魔王ゾーマより怖いですよ?」
小声でディートがアクシズに耳打ちする。
女の子というのは、とにかく買い物が大好きだったりするからだ。
「仕方ないだろ……。」
アクシズは腕組したまま、遠くを見つめた。

……だが。
アクシズは、『50万G全額無くなる事』までは全く予測出来なかった……。
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