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「普通、あそこでは『メラ』だろうが……!!」

勇者アクシズが嘆息し、賢者ディートに抗議する。
賢者は笑って答えた。
「ほら、アクシズって炎系に強いから、多少当たっても大丈夫だと思って。」
「いくら俺だって、死ぬ時は死ぬぞ!?」
「ははは。ごめんなさい。」
ディートは苦笑いしながら頭を掻いた。

「コイツはまた、可愛い仲間だな。」
幼馴染2人のやり取りを見ていたエビルが、小さい魔物に気付き声をかける。
「ああ、ミニモンっていうんだ。
 ひょんなことから一緒に旅するようになってね。」
アクシズが紹介すると、ミニモンは小さく挨拶した。

「そうだ。アイリは?」
アクシズが聞くと、ディートとエビルは顔を見合わせ嘆息する。
「その……。ちょっと、厄介な事があって……。」
「……メルキドからラダトームに戻って以来、元気が無いのだ……。」

「?」
全く訳解からず、アクシズは唖然とした。
自分が魔王軍に監禁されている間、『何か』があったらしい……。

事情を知らないアクシズは、勝手に推測し項垂れる。
「……事情が事情だったとはいえ、数ヶ月も放って置いたからかな……。」
「『確かにソレも考えられます』が、僕らもアクシズ不在時に戦闘していましたから。」

__コイツ……。今『さらり』と否定しなかった……。

アクシズはディートの微妙な言葉に反応したが、聞いていない振りをした。
「それで皆、無事なのか!?」
「ええ。ご心配なく。全員無事です。」

ディートは、今までの旅の経緯をアクシズに話した。
『王者の剣』の材料になる『オリハルコン』入手のこと。
『ゾーマの城』の結界を解く為の、3種の神器のこと。
『精霊ルビス』復活は、アイリ以外の勇者では駄目だということ。
魔王軍幹部キング(キングヒドラ)との戦闘のこと……。

アクシズは、自分に変身し、仲間を襲ったキングの話を聞き、
湧き上がる怒りに思わず拳を握り締める。

「次は、アクシズの話を聞かせてくださいよ。
 どうやって脱出してきたのですか?」
次はディートが問い返す。
アクシズは嘆息すると、自分の旅の経緯を語りだす。
彼が語り終えると、仲間2人は驚愕した。

「じゃあ、今まで『勇者オルテガ』様と一緒にいたのですか!?」
「アクシズ。お前、最強装備で『両手剣』(二刀流)になっているではないか!!」

今頃、自分の『ガイア』完全装備に気が付く仲間に嘆息しつつも、
勇者アクシズは皆との再会を心から喜んでいた。
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