＜8＞
	「アイリさん、アイツは……。」 「解かってるわよ!!!!」 賢者ディートの言葉を遮って、勇者アイリは叫ぶ……!! 怒りの影響か、彼女の剣を握る手から微量の電撃が発せられている。 ＿＿『その姿』で、皆を殺したの……!!? 「そんな、怖い顔するな……。」 勇者アクシズの姿のまま、キングは声や口調すら彼に似せて冷たく微笑む。 「やめて!!!! 　これ以上、彼を愚弄しないで!!!!」 「駄目だよ。アイリ。お前に俺は斬れない……。」 徐に近づくキングに激しい拒絶感を覚え、アイリは剣を振り下ろした。 だが、その剣は彼の首筋、一歩手前で止まってしまう……!! キングはアイリの手首を掴み、彼女に向かって嘲笑した。 だが、姿は勇者アクシズのままである……!! 「一緒に行こう。」 「どけ。アイリ!!!!」 エビルが、拳を振りかざし、キングを攻撃する。 キングは跳躍し、アイリから離れた。 エビルはそのままの体勢から、『いてつく波動』を出そうとする。が……!!? それより早く、キングの鎌が彼の腕を切り落としていた……!!!! 苦痛に呻くエビルを、慌ててリオが回復呪文で癒す。 何とか腕は繋がったものの、キングの強さに皆愕然となる。 ドクン……!! ＿＿!? アイリは、突如大きくなる自分の鼓動を聞き、思わず左胸を押さえた。 怒りのあまり、自分が自分で無くなる感覚がある……!! ……と、アイリが徐に顔を上げた。 その瞳に光は無く、顔は凛とし無表情だ。 エビルは、そんな彼女の異変に気付き、驚愕する!! ＿＿地竜ヴァンベルトの血が今ココで『覚醒』したのか……!? アイリはそのままの位置から、下から上に剣を振るった。 剣から生じた衝撃波は、上空のキングを捕らえ、彼の変身を解く。 元の『死神』の姿に戻ったキングは、 覚醒した勇者アイリに向かって冷たく微笑すると、消えた。 ＿＿……。 アイリが気を失って倒れると、リオが泣きながら幼馴染を抱き締めた……。 仲間達や、グレイやガライ、生き残ったレジスタンス達は沈黙し項垂れる。 なんとかキングを撃退出来たのはよかったのだが、犠牲は大きかった……。
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