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「本当に、私達だけで大丈夫ですの?」 リオが心配して、ディートに問う。 「だって、仕方ないでしょう。 僧侶系呪文が使えるのは、僕らしか居なかった訳ですから。」 苦笑して彼は答えた。 ディートの作戦はこうである。 前方に見える魔物はドラゴン系だった。 ドラゴンやヒドラというのは、非常にタフで直接攻撃ではかなり厄介な相手だった。 「でも何故か必殺呪文『ザラキ』だけは面白いように効くのですよね♪」 ザキ系は扇状範囲に発せられる呪文故、距離調節は難しいが、 ディートはそのへんの呪文操作が得意である。 メルキドの地形が邪魔し、魔物の軍勢は直線状にしか隊列が組めない。 2人はメルキドの城門両側見張り台に立ち、 対角線上に効果が交差するように詠唱の構えを取った。 こうすれば、扇状範囲の攻撃も直線状になる。 ディートとリオが、ほぼ同時に『ザラキ』を詠唱する。 すると、効かないモノもいたが、魔王軍の包囲を薄めるのには効果絶大であった。 「かかれ!!!!」 若き長、グレイの指揮でレジスタンス達が一斉に、生き残ったドラゴン達に攻撃を仕掛ける。 「私達も行きましょう!!!!」 勇者アイリ達も其れに続く。 アイリはヒドラの軍隊に向かって、電撃系最高呪文『ギガデイン』を詠唱した。 実際この場で使うのは初めてだったが、 威力は絶大で、広範囲に渡って軍を一度に葬り去る。 だが、予想外に消耗が大きい……。 彼女が死骸の山の先を見据えると、何と第2の軍勢が待っている!! __確かに、ギガデインは強力だけど、連発できる技じゃないわね……!! アイリは自分の至らなさに思わず唇を噛んだ。 こんな事なら、たとえ恋人同士とはいえ、 勇者アクシズに闘い方を習っておいた方が良かったとまで思う。 アイリは、背中の『バスタードソード』を鞘から抜き、構えを取った。 |
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