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「ちっ……!! とうとう、ココも嗅ぎ付けられたか……!?」 グレイは舌打ちすると、仲間の所に急ぐ。 __そ、そんな……。つけられていた……!? アイリは、今までの記憶を辿り、旅の経路を思い出す。 不審な人物はいなかったか? だが、そんな者はいなかったし、蛇(キングコブラ)がチラホラいた程度である。 __……キングコブラ!? アイリは思わず驚愕した。 小さくともキングの偵察モンスターだったのだ……!! キングは『ヒドラ族』ゆえ、蛇やドラゴン系、ヒドラ系の魔物の軍隊を持っている。 ある意味、魔王軍最強の部隊と言っても過言ではない!! 勇者アイリは、責任を感じたが、ココで引き下がる訳にはいかない……!! 「アイリさん!! 大変な事になりましたね……。」 賢者ディートが、部屋に着いたアイリを見つけ、声を掛けた。 彼の話では、メルキド城門前が魔王軍幹部キングの大量の軍隊によって、 完全に包囲されているとのことだった。 だが、アイリは、アクシズやオルテガのように『軍隊』と闘った経験が全く無い。 指揮を執ろうにも、いったいどう指示していいものか……!? 「こういう戦闘に得意なアクシズはいないし、 あと、『軍隊』相手の戦術に詳しいのは、ディートだけじゃない?」 エルマが意外な提案をする。 パーティ一同又、レジスタンス一同は思わずディートに注目した。 「え……。ぼ、僕が指揮するんですか?」 「そういえば、アクシズとディートはよく、『チェス』で遊んでいたそうだな? 『チェス』というのは、人間界で戦術を養う遊び道具だとも聞いたが……。 しかも、お前はダーマ大神官バサラの息子だし、賢者でもある。」 エビル(バラモスエビル)はディートの過去を皆に語る。 「彼女(リオ)にいいトコ見せるチャンスじゃない?」 小声でエルマがディートを突っつく。 __……。 言われて顔を赤くしながらも、ディートはリオに視線を移す。 彼女は、心配そうに両手を握り締めながら自分を見つめていた。 「解かりました。 やります……!!」 アクシズ程では無くても、ディートだって天に選ばれし賢者である。 しかも、勇者以外の者に指揮を執らせるのは異例のことだった。 |
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