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アイリは、精霊ルビスの女神像を見ながら、 『雨の祠』の精霊の言葉を思い出していた……。 __私以外、ルビス様を復活させることは、不可能……か……。 グレイは、そんなアイリを遠目から見つめる。 彼女は『勇者』と名乗るには、あまりにも美しい少女だ。 華奢な身体に長剣を背負っているが、それすらも魅力的に感じずにはいられなかった。 元々、竜神とは強大な力を持ちながら、人を惹きつけて離さない魅力を持っている。 彼女はその血ゆえ、天性の気品と魅力に満ちていた……。 「あ。グレイさん。」 アイリが、そんなグレイに気付き声をかけた。 もちろん彼女は、彼が自分に惹かれ始めていることなど気付かない。 「『太陽の石』の場所をご存知ですか? 又は、『精霊ルビス』様の封印されている場所とか……。」 __……か、可愛い……!!? 澄んだ純真無垢な瞳に見つめられ、グレイは思わず額に汗を浮かべ狼狽する。 しかし、咳払いすると気を取り直し語り始めた……。 「『太陽の石』の場所は残念ながら知らない……。 だが、『精霊ルビス』様は、 マイラ地方西に位置する『ルビスの塔』に封印されていると報告されている。」 「ありがとうございます。それで十分です。 あ、それから……。」 「?」 アイリは神妙な面持ちで、グレイを見つめる。彼も見つめ返す。……が? 「『勇者アクシズ』の事とか、何か聞いていませんか……?」 その……、彼、私の恋人なのですけど……。」 いきなり恋敗れたグレイは、がくっ……と項垂れた。 しかも、同じ『勇者』と呼ばれる者とは……。 「い、い、いや……。 あいにく、そのような者の名前など聞いたこと無いな……。」 「そうですか……。」 言ってアイリは、悲しそうに俯く。 どんなにその勇者が、彼女に愛されているのか、誰の目からも理解出来る。 __まったく、羨ましい男だな……。 グレイは、嘆息し苦笑した。 こんな見目麗しい少女を泣かすのだから、もし会えたら一発殴ってやろうと決意する。 ……が、しかし、そうもいかない事態が訪れる!! 「た、大変です!! グレイさん……!!!!」 レジスタンスの一人が、慌ててグレイとアイリがいる部屋に飛び込んできた。 彼は肩で息をしながら、それでも深刻な表情で長を見た。 「何があった!?」 「魔王軍に、ココがばれました!!!!」 グレイの表情が凍りつく。 勇者アイリ達は魔王軍幹部キングの部下に、尾行されていたのだった……。 |
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