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ディートとリオが、武装集団に連れてこられた先は、
頑丈な鉄扉に守られた、地下室。
部屋には、精霊ルビスの女神像が飾ってある。

ディートが部屋を見回すと、彼の仲間も一緒にココに連れてこられていた。
エビルも入れたということは、部屋は相当広さがある。

「やはり、格闘場の魔物達を連れてきたのは、貴方達でしたか……。」
ディートの鋭い指摘に、若い長は正直に頷いた。

「話は、アイリさんから聞いている。
 君達を疑って悪かった……。
 だが、魔王軍は我らレジスタンスの存在を疎ましく思っているのだ……。
 警戒心が強くなるのは当然と、思ってくれていた方がいいだろう。」

若い長は、『グレイ』と名乗った。
整った精悍な顔つきをしているが、冗談が通じないような硬物にも見える。
年齢は22歳位といったところだろうか……。

彼の横から、一人の吟遊詩人が出てきた。
名は『ガライ』といい、これまた容姿端麗で、男性にしておくのは惜しい程の美青年だ。
彼は、初対面の勇者アイリ達7人に、本人に代わって若き長の紹介を始めた。

「グレイさんは、アレフガルドで『勇者』と呼ばれる者の最後の一人なのです……。
 今まで、数多の勇者と呼ばれる者達が大魔王ゾーマに挑み、敗れました。
 幸い僕は、魔物達と話せます。それで……。」
「やめろ!!」
ガライの言葉を遮って、グレイは叫んだ。

__グレイさんって、『負けず嫌い』なのね……。

勝手に性格分析したアイリは、思わず苦笑する。
よく見れば、グレイとガライの2人は、アクシズとディートのコンビに似ている。
そう思った瞬間、アイリは切ない想いにかられた。
勇者アクシズは、無事なのであろうか……?

今の彼女は、アクシズが残した剣で闘っていた。
アクシズが使っていた剣は『バスタードソード』といって、かなり重い長剣だ。
コレを使いこなしていたのだから、如何に勇者アクシズの力が強いか解かる。
……その剣を装備するアイリの力も、たいしたものだが……。

(ちなみに、オルテガはカンダタから貰った『雷神の剣』を装備して闘っている。
 アクシズが装備出来なかった為、装備できるオルテガが貰い受ける事になったのだ。
 元々カンダタは『雷神の剣』を『盗品オークション』に出す気が無かったらしい……。)

勇者アイリ達も、彼らレジスタンス同様『魔王軍のお尋ね者』である。
彼女達はしばらくここで厄介になることにした。
アイリ達が探す『マトモな人々』が、やっと見つかったのだから……。

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『DQ3』外伝CONTENTS