<6> | ||
『マイラの村』の宿屋。 疲労困憊し、ソファーで寝ていたアクシズは、やっと目を覚ました。 周囲を見回すと、カンダタが器用にも椅子に座ったまま寝息を立てている。 __……!!? アクシズは、ベッドに視線を移し驚愕する。 何と、さっきまで寝ていたオルテガの姿がなくなっているではないか……!!? 「カ、カンダタ、起きろ!!!!」 アクシズは慌てて、カンダタを揺り起こす。 すると、彼は寝ぼけた表情で、面倒くさそうに目を擦る……。 「何だよ。 いったい……。」 「オルテガさんが、居ない!!!!」 「なんだとぉぉぉ!!!?」 カンダタは驚愕して飛び起きると、ベッドに視線を移した。 アクシズは部屋を確認するが、オルテガの荷物も消えていた。 「ま、まさか……。」 __一人でゾーマを倒しに行ったのか……!? アクシズは拳を握り締め、唇を噛んで悔やんだ。 『すまない……。 君達を危険な目に合わせるつもりは無かった……。』 ふと、オルテガがこう言っていたのを思い出す。 サタンとの闘いでアクシズとカンダタは瀕死の重傷を負った。 オルテガはそのことで責任を感じ、一人で旅立ってしまったのだ……。 __本当に甘いのは、貴方のほうじゃないか……!!!! アクシズは悔しさの余り、思わず目の前のテーブルを叩く。 加減したものの彼の腕力は強く、木製のテーブルはあっけなく崩壊する。 「追うぞ……!!」 「へ?」 俯いて、怒ったように言うアクシズに、カンダタは驚愕する。 「『ゾーマの城』に一番近い所は何処だ?」 「ココから南に位置する『リムルダール』だが、相当遠いぞ!? それに、アイリを捜さなくていいのかよ!!?」 カンダタのもっともな意見に、勇者は力なく項垂れる……。 「大丈夫。勇者オルテガは本当に強いからな。 だけど、アイリはお前が守ってやらなければいけないだろ?」 「……。」 確かに、本当にアクシズが一番逢いたいのは、アイリである。 ……だが。 若き勇者は唇を噛み、俯いたまま動けなかった。 |
||
■この次の[STORY_8]へ ■前へ ■『DQ3』外伝CONTENTS |