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精霊の話は、更に続く。 話は過去に遡る……。 地下世界アレフガルドに伝わる3種の神器の1つ、 『王者の剣』を破壊することに成功した『大魔王ゾーマ』は、 今度は、彼にとって最も邪魔な存在である『精霊ルビス』を封印した。 『精霊ルビス』が、封印されると同時に地下世界アレフガルドは闇に包まれ、 その影響で野生の魔物達が凶暴化し、人を喰らい始めた……。 そして、『大魔王ゾーマ』の欲望は地下世界だけでは満たされず、 地上界の魔族を代々治めていた『魔王バラモス』を臣下にし、 地上界の制圧をも謀(はか)り始めたのである。 だが、地上界は天界に君臨する強大な『神竜』の力に守られ、 中々制圧できない……。 そこで、彼の力に対抗する為、ゾーマは『神竜』と似た能力を持つ 『地竜』と『天竜』の力を取り込もうと考えた。 ところが、2匹の竜神達は、『ヴァンベルト』と『クライン』と名を変え、 人間に化け、人間界に渡ったというではないか……!!? 『地竜ヴァンベルト』と『天竜クライン』は強力な血筋ゆえ、 人間達に『勇者』として崇められるようになっていた。 『勇者』の存在に目をつけた大魔王ゾーマは、 地下世界で勇者と呼ばれる者の魂を貪っていたが、どれも該当しなかった。 しかしその後、地上界の大国、『アリアハン』と『サマンオサ』に、 求める竜神と同じラストネーム(苗字)の代々勇者の家系があることが判明。 当時、『アリアハン』は全世界各国を統治していた貿易大国だった為、 制圧に不都合だと感じたゾーマは、バラモスに命じ、 対抗出来る大国『サマンオサ』から反乱を起こすように仕向けた。 やがて、地上界では大規模な世界大戦が勃発。 これが元で世界各国はバラバラになり、 『アリアハン』と『サマンオサ』は犬猿の仲となる。 「それで大魔王ゾーマは、私達『勇者』を狙っているのですか?」 精霊の話を聞き終えたアイリは、思わず震撼し狼狽する……!! ゾーマが狙うのに該当する『勇者』とは、 『勇者アクシズ』、『勇者オルテガ』、『勇者サイモン』そして、『勇者アイリ』。 今後自分の実家にいる家族にすら、魔手は伸びる可能性がある。 だが幸いヴァンベルト家直系の血を継ぐのは、アイリの祖母の方だった。 祖母は既に老衰死しており、アイリ以外に血を継ぐ者は残っていない。 「急ぎなさい、アイリ。 『精霊ルビス』様の封印を解く事が出来るのは、 ルビス様に選ばれた貴女以外いないのです。 他の勇者達では不可能なのです……。」 精霊は凛として、勇者アイリにそう告げた。 |
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