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「アイリ……。 貴女がココに来るのは、貴女が産まれる前から決まっていました……。」 精霊は優しく微笑むと、自分の持っている『杖』をアイリに渡す。 杖の先端は、まるで雲のような形をしている……。 杖はアイリが受け取ると、彼女を待っていたかのように力を発動し、 その周囲にスモークのような雲を作り出す。 神秘的な光景に、仲間達は呆然と見惚れている。 元々美しい彼女のことだ。 その姿は、勇者というより聖女のように、皆の目に映った。 「コレは……?」 アイリは、『杖』の正体を問う。 「『雨雲の杖』です。」 精霊は、美しい声で説明を始めた。 「『ゾーマの城』へ渡る方法を探していたのでしょう? 確かに、『ゾーマの城』へは強力な結界が邪魔しており、 普通の人間の力では入ることが出来ません。」 __……!!? 旅の目的の事は、まだ、誰も話していない筈だが……!? 全てを見透かした発言に、一同は驚愕する。 だが、ロマンチストな性格のアイリには、 別に珍しい事ではないらしく、平然と精霊に質問する。 「いったい、どうすれば、『結界』を壊せるのですか?」 「『太陽の石』と『雨雲の杖』。 そして『聖なる守り』の3つが合わされば、 『ゾーマの城』の結界を解き、島へ渡ることが可能になるでしょう……。」 精霊は徐にアイリに近づくと、『雨雲の杖』に触れた。 「『雨雲の杖』はココにあります。 『太陽の石』の所在は、私にも解かりかねますが、 『聖なる守り』は『精霊ルビス』様の愛の証……。」 __精霊ルビス……!!? 今度は何と『女神』(アレフガルドの創造主)の話である!! 一同は、相変わらず唖然とし絶句したまま動かない。 ただ一人、勇者アイリを除いては……。 |
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