アレフガルド大陸、東北に位置するマイラ地方。
森林の中に在り、唯一温泉が湧き出る『マイラの村』。

その村は、遠目では解かりにくい位置にある為、魔王軍の侵攻が無く、
人々は闇の中でも穏やかに生活していた……。
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「私も、もう20年若かったら、放ってなかったのだけどね〜♪」
宿の女将が、アクシズの端麗な容姿を見て言う。

勇者アクシズ達は、しばらく『マイラの村』に滞在していた。
何かを思い出そうとした勇者オルテガが、急な激しい頭痛の為倒れたからである。
アクシズと、カンダタの2人は、
そんな彼を抱え意識が戻るまでこの村で看病することにした。

村では来訪者も少なく、しかもアクシズやオルテガのような『いい男』が来たとあって、
若い村娘達は、宿の前でキャーキャー騒いでいる。
外で、買出しを終えたカンダタは、そんな娘達を「しっし!!」と追い払う。
そして部屋に着くと、大きく溜め息をついた。

「アクシズ。お前、絶対『温泉』入らない方がいいぞ。
 こりゃ、確実に(女に)襲われる……。」
項垂れてカンダタが言うと、アクシズは苦笑した。
「ああ。気をつける。」

「オルテガの様子はどうだ……?」
カンダタがテーブルに薬草等の袋を置きながら訊ねる。
アクシズは俯いて首を横に振った。

「あれから、ずっと眠っている……。
 今までロクに休まず、あんな戦闘したんだ。」
こうなって当然であろうとでも言うかの様に、彼は嘆息した。

「そういえば、アクシズ。
 お前も顔色悪いじゃねえか。
 看病代わってやるから、ちょっと休め!!」
カンダタが険しい顔で、強引にアクシズを立たせると、彼をソファーに座らせる。
「勇者様、大丈夫〜〜?」
ミニモンも、顔を覗き込んでくる。
その顔は大げさで、非常に心配そうだ……。

確かに、監禁されていた塔から無事脱出したものの、魔王軍幹部サタンと、いきなり戦闘。
勝ったのは良かったのだが、アクシズにとっては、精神的ダメージも大きかった。

__……アイリ……。

勇者アクシズは、睡魔に襲われながらも、愛しい少女を思い出す。
今まで彼が必死に起きていたのは、何より早く彼女に会いたかったからだ。
……だが。

その彼が愛する勇者アイリであるが、実は、とんでもない事になっていた。
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