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魔物達は、サタンが死んだのを確認すると、一斉に退散を始めた……。

勇者アクシズは、しばらく呆然とその光景を見ていたが、
負傷の酷い方の腕を抑えながら身を起こす……。
周囲を見回すと、カンダタがまだ動けず倒れている。
カンダタは特に負傷が激しく、爆風をまともに受けたのか、右胸が焼け爛れている。
オルテガは、徐に近づいて来ると、彼らに回復呪文『ベホマ』を詠唱し傷を癒す。
そして、彼は俯いてアクシズに詫びる。

「すまない……。
 君達を危険な目に合わせるつもりは無かった……。」

当の勇者アクシズは、サタンの人柄を偲び俯いたまま動かない。
出来れば闘いたくない相手だった……。
心の底では友になれるかもしれないと、密かな期待があった……。

__俺は、甘かったのか……。

エビルや、ミニモンのようになれると思っていたのかもしれない……。
オルテガはそんなアクシズに気が付き、嘆息した。
彼が魔物に優しいのは、オルテガにも解かっている。
だが、彼はまだ若い……。

「アクシズ君……、君の気持ちはよく解かる。
 だが、これが戦争だ……。
 あのまま気を許していれば、我々が死んでいた……。」

オルテガに優しく諭され、アクシズの瞳から不意に涙がこぼれ落ちる……。

「解かってます……。
 解かってます……、だけど……!!」

オルテガは、徐にアクシズに近づくと、彼を抱き締めた。

「う、うああぁぁ……!!」
彼の瞳から堰を切ったように涙が溢れてくる……。
アクシズはオルテガの胸にしがみ付いて泣き始めた。

「アクシズ……。」

オルテガの胸の中で、声を上げて泣くアクシズを、
カンダタは心配そうに見つめる……。
やがてミニモンも、もらい泣きを始め、カンダタの腕にしがみ付く。

潮風は非常に冷たかった……。
だが、彼等はしばらくその場から動けなかった……。
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『DQ3』外伝CONTENTS