<8> | ||
魔物達は、サタンが死んだのを確認すると、一斉に退散を始めた……。 勇者アクシズは、しばらく呆然とその光景を見ていたが、 負傷の酷い方の腕を抑えながら身を起こす……。 周囲を見回すと、カンダタがまだ動けず倒れている。 カンダタは特に負傷が激しく、爆風をまともに受けたのか、右胸が焼け爛れている。 オルテガは、徐に近づいて来ると、彼らに回復呪文『ベホマ』を詠唱し傷を癒す。 そして、彼は俯いてアクシズに詫びる。 「すまない……。 君達を危険な目に合わせるつもりは無かった……。」 当の勇者アクシズは、サタンの人柄を偲び俯いたまま動かない。 出来れば闘いたくない相手だった……。 心の底では友になれるかもしれないと、密かな期待があった……。 __俺は、甘かったのか……。 エビルや、ミニモンのようになれると思っていたのかもしれない……。 オルテガはそんなアクシズに気が付き、嘆息した。 彼が魔物に優しいのは、オルテガにも解かっている。 だが、彼はまだ若い……。 「アクシズ君……、君の気持ちはよく解かる。 だが、これが戦争だ……。 あのまま気を許していれば、我々が死んでいた……。」 オルテガに優しく諭され、アクシズの瞳から不意に涙がこぼれ落ちる……。 「解かってます……。 解かってます……、だけど……!!」 オルテガは、徐にアクシズに近づくと、彼を抱き締めた。 「う、うああぁぁ……!!」 彼の瞳から堰を切ったように涙が溢れてくる……。 アクシズはオルテガの胸にしがみ付いて泣き始めた。 「アクシズ……。」 オルテガの胸の中で、声を上げて泣くアクシズを、 カンダタは心配そうに見つめる……。 やがてミニモンも、もらい泣きを始め、カンダタの腕にしがみ付く。 潮風は非常に冷たかった……。 だが、彼等はしばらくその場から動けなかった……。 |
||
■この次の[STORY_7]へ ■前へ ■『DQ3』外伝CONTENTS |