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「なるほど。 やはり、真正面からいかなければ分が悪いという訳だな……。」 サタンは、勇者オルテガに向かって微笑した。 残った部下を全て引かせ、徐に前に出る。 「独りで旅していると、どうしてもその辺が、切り抜け上手になってね。 なにせ、私が一人でも、敵は一人で現れてくれないのだからな。」 勇者オルテガは苦笑すると、そのまま『雷神の剣』を構えた。 __独りで旅していると……か……。 俺も、似たようなものだな。 勇者アクシズは、魔物ハンター時代の自分を思い出し苦笑した。 確かに独りになると、『何でも利用すること』を覚えるものだ。 しかも彼等は、物事を主観的に見ているようで、実は客観視している。 勇者アクシズは、自分も2本の『ガイアの剣』を両手で構える。 盗賊カンダタは、斧を振りかざし身構えた。 ここからはサタンとの真剣勝負である。 『ゾーマの城』地下最深部。 城内空中映像からサタンと勇者達の闘いを見ていたブロスは、思わず狼狽した。 __『勇者アクシズ』と『勇者オルテガ』とは、 我々にとっては最凶のコンビではないか……!! 偶然とは恐ろしいものである。 しかもこの勇者達。 両者共々、とんでもない策士である。 これでは『勇者アイリ』と引き離した意味がない……!! 実際、この戦闘を見る限り、 既にサタンはオルテガの策に嵌まってしまっている。 『ブロスよ……。 [勇者]を殺したくなったか……?』 大魔王ゾーマが闇の中で、冷たく嘲笑する。 ブロスは、闇の主の声に狼狽する。 「い、いえ、そういう訳では……!!!!」 『サタンの真面目さには、 いいかげん、飽き飽きしていたところだ。』 大魔王ゾーマは、自分の部下に向かってとんでもない事を口にする……!! まるで、勇者達に倒されても構わないという、冷酷な口振りである。 __そ、そんな……。無慈悲な……。 総司令官ブロスは、力無く項垂れた。 |
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