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一方その頃、ドムドーラで『オリハルコン』を手に入れた勇者アイリ一行は、 『城砦都市メルキド』へ向かっていた。 アレフガルドの地図を見たのは良かったのだが、 何故か『ドムドーラ』〜『メルキド』間の南に位置する部分が、 未開の土地なのか、擦れていてよく解からない。 実際入ろうにも、断崖絶壁の谷間が迷路になっていて危ないと判断した為だ。 年中暗い上、見知らぬ危険な土地で、無謀な行動をするわけにはいかなかった。 アイリは地図と現在地を照合し、東へ向かって的確に移動する。 もちろん彼女は、他の勇者達と『すれ違いの行動』に出ているとは夢にも思わない。 「今度こそ、『結界』を壊す手掛かりが掴めるといいのだけど……。」 アイリはそう呟くと、ため息をついた。 城塞都市メルキドは、まだ遠い……。 マイラ地方、ルビスの塔周辺は完全に魔王軍幹部サタンの 1000体の部下によって包囲されていた。 それも、全部悪魔系の上位モンスターである。 勇者アクシズは、今まで経験したことのない緊張感に額に汗を浮かべる……。 丁度、彼にかけられた封印は塔を出たとたん解除されていた。 これで呪文を使用することが出来る。 ……だが。 「アクシズ君。 私が、指揮した方がいいかな……?」 勇者オルテガは、そんな勇者アクシズに気が付き、 指揮権を交代しようと言い出した。 「君は、何が得意だ?」 「炎系呪文です……。」 「それは、広範囲攻撃可能か?」 勇者オルテガの質問は更に続く。 勇者アクシズは主に『ギラ系』『メラ系』が得意だ。 だが『ギラ系』はグループ攻撃で、広範囲攻撃ではない。 『イオ系』広範囲攻撃もイオラまでしか使えない……。 「ありがとう。よく、解かった。」 オルテガは考えたように頷くと、今度はカンダタに向き直り同じように質問をする。 カンダタ狼狽しながらも、彼に聞かれるままに答えた。 「君は、力技専門だな。ありがとう。」 「相手が軍を率いてくる場合、大将を討ち取れば何とかなるものだ。 無理に相手の全滅を図ろうとしても多勢に無勢。 我々が力尽きるのが落ちだ……。」 年の功というわけではないが、 オルテガはアクシズに指導するように落ち着いて解説した。 「しかし君の言うとおり、『勇者』である私達をサタンが倒せないのなら、 こちらにもまだ分はある訳だ。」 そう言って、彼は微笑む。やはり、彼は誰もが認める歴戦の勇者だ。 「お願いします……!!」 アクシズは、迷わずオルテガに指揮権を移した。 |
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