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「何で、おめえが捕まってんだよ……!?」
狼狽しながら、カンダタがアクシズに問う。

「奴らにとって俺は、大事な『お宝』らしいからな。」
服裾の埃を払いながら、アクシズは平然と言った。

「どうせ囚われるなら、アイリの方が……。」
「……そんなことしたら、あいつらに『何されるか』解からんだろうが!!」
カンダタは、『囚われの姫君ならアイリが似合う』という意味で言ったのだが、
実際、キングの残忍振りを目にしていたアクシズには、
どうしてもそれが許せなかったらしい……。

「まあ、こんな所早く出ようぜ、アクシズ。
 そのアイリが心配してんだろ?」
「ああ。」

カンダタは、丸腰のアクシズに気付くと、魔物から盗んでいた『雷神の剣』を渡す。
「他にもいっぱい剣はあるけどな。中でもコイツが最強だろ。」
アクシズはその剣を受け取り……。
がくっ……と、突然その右腕が脱力する!!

「どうした?」
まさか、幽閉期間が長すぎたのだろうか……!?
カンダタは心配して勇者の顔を覗き込む。

「ち、力がいつもより入らない……!?」

「じゃあ、コイツならどうだ。」
カンダタは次に『ガイアの剣』を出してきた。
しかも、何と2本ある……!!
アクシズは思わず驚愕した。
そんな彼に向かって、カンダタは更に言葉を続ける……。

「元々コイツは『両刀』モノだったらしいな。
 ちょうど、ギアガの大穴落下地点でボロボロだったのを一本見つけたから、
 マイラの鍛冶屋で鍛えなおしてもらっておいたんだよ。
 それと、『ガイアの鎧』もあるぜ。俺は用意がいいんだ♪」

「なるほど……。両手剣(二刀流)だったってわけだ。」
『ガイアの鎧』があって『ガイアの盾』が無いのは、おかしいとは思っていた。
だが、『両手剣』ならば『盾』を持つ必要は無い……。
しかも、『ガイアの剣』1本の攻撃力はそんなに無いが、
2本揃えば本来の力を取り戻せる。
アクシズは、『ガイアの鎧』と、背中に2本の『ガイアの剣』を装備した。

丁度その時、お世話係のミニデーモンがアクシズの部屋に訪れた。
その中の様子を見て、彼は思わず驚愕する。
「ゆ、勇者様!!!!」
「何だ、コイツは?」
カンダタが、ミニデーモンを倒そうと斧を振りかざすが、アクシズの剣に受け止められた。
小さな魔物は頭を抱えて震えている。
「コイツは違うんだ。許してやってくれ。」
監禁されていたとはいえ、非情になれない彼に、カンダタは仕方ないと嘆息する。

「お前も一緒に来るか?」
アクシズが言うと、ミニデーモンは元気に頷き、飛びついてきた。
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『DQ3』外伝CONTENTS