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__……たく、どいつもこいつも……。

マイラ地方、『マイラ』の村。
ギアガの大穴を通り、盗賊カンダタはこの村まで来ていた。
元々、凶暴化した野生の魔物など、相手にならぬほど、彼は強い……。

__やっぱ、アノ塔しか『お宝』は無いか……。

カンダタは、マイラ地方西に位置する『ルビスの塔』に目をつける。

彼は、地上界で開かれる『盗品オークション』の出品常連であり、
エルマと同様『目利き』である。
『盗賊ギルド』に登録してはいないが、『盗賊団』を結成していれば、
出品参加が認められる。

ちなみに、エルマは元々、盗賊ギルド『Sクラス登録者』だが、
彼女が、魔物ハンターギルド『Sクラス登録者』アクシズの仲間になってから、
カンダタとは犬猿の仲になっている。

「さ、いっちょ稼いでくっか!!!!」

カンダタは、ドコから盗んできたのか、小型船に乗り込むと、
ルビスの塔へ向かって前進する。
船が対岸に着き、碇泊させると、岸にそのまま飛び乗る。
彼の背中には、斧が担がれており、
手入れされていないのか魔物の血が染み付いていた。

「うわっち!!!!
 い、いきなりかよおおお〜〜〜!!!!」

ルビスの塔に入るや否や、いきなりラゴンヌ達から炎の洗礼を受ける事となった。
「敵が、強いじゃねえかよ!!!!」
斧でなぎ払い、カンダタが文句を言う。

__……でも、こういう所って、スゲエ『お宝』が眠っているんだよな〜〜♪

フッ……と、彼は微笑した。
その歯がキラリと光る。

塔の中の一室に、『強固に鍵がかけられた部屋』がある。
カンダタは、期待に胸を躍らせ、愛用の『針金』を道具袋から取り出した。
手馴れた手つきで、錠を外す。

「さあ、お宝ちゃ〜ん♪
 ……ん!?」

カンダタは、扉を開け……、もう一度自分の目をこする。
そして、片手で頭を抱え、がくっ……と項垂れた。

「……本当に、俺はスゲエお宝見つけちまった……。」

そう……。
それは、『勇者アクシズが監禁されている部屋』であった……。
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『DQ3』外伝CONTENTS