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ラダトームの城下町の宿屋で一泊した勇者アイリ一行は、 次なる目的地『ドムドーラ』に向かって歩き出した。 アイリはなるべく、凶暴化した野生の魔物を倒さないようにする為、 聖域呪文『トヘロス』を詠唱する。 「アイリさん。知っていますか?」 旅の道中、賢者ディートがアイリに問いかけた。 「城内の人から聞いた話なのですが、 昔、大魔王ゾーマが唯一、手古ずった『武器』があったそうです。」 「『武器』?」 アイリは首を傾げた。 彼は更に語り続ける。 「『王者の剣』といって、ゾーマが破壊するのに『3年』もかかったそうです。 今はもう、破壊されてありませんが、もし同じものが作れたら……。」 「倒せる可能性がある……!?」 彼女の言葉に、ディートは力強く頷く。 「同じものでなくても、『同じ素材』があれば、 似た効力の剣を作れるかもしれませんよ? あくまで、僕の推測の範囲内の話ですけど……。」 だが、2人の会話を遮るように商人ミーナは、慌ててその推論を否定する。 「そりゃ、無理やで……。 『王者の剣』の話はウチも聞いたけど、素材はあの『オリハルコン』や。 あれは、この世に中々無い『鉱物』やし、もし見つかっても鍛える人がおらへん!! アレは、ダイヤより硬いんやで!!!!」 「技術的に不可能ということらしいな……。」 戦士クリスは、項垂れる。 「でも、『オリハルコン』は見つかりそうね。」 「?」 盗賊エルマの意外な発言に、皆が注目した。 「だって、『王者の剣』は『破壊された』んでしょ? じゃあ、ちゃんと『残骸はある』訳でしょうが。」 今更思いついたようにディートは手を叩いた。 「……そ、そうか!! 確かに、『オリハルコン』はちゃんと残っている!! アレフガルド内に有る筈だから、探せばきっと……。」 ……あんた、本当に『賢者』なの? エルマが白い目で彼を見る。 だが……。 「でも、どうやって探すのだ? 地下世界の小大陸とはいえ、アレフガルドは広いぞ?」 「そうですわね……。 探している内に、オルテガ様に先越されちゃいますわよ?」 エビル(バラモスエビル)と僧侶リオのもっとな意見に、一同落胆のため息をつく。 やがて砂漠地帯へ出る。 『闇の砂漠』は大変危険で、視界を完全に遮られてしまった。 皮肉な話、太陽が無い所為で蜃気楼現象が起こらないのが、 唯一の救いであるが……。 こういう場合、魔物であるエビルの存在が役に立つ。 彼の嗅覚が『水の匂い』を捉え、一行を無事オアシスへ導くことが出来た。 |
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