<4> | ||
アレフガルド中央に位置する、大規模都市『ラダトーム』。 奥には『ラダトーム城』が有り、その下に城下町が広がっている。 この闇が無ければ、さぞ美しい白亜の城に違いない……。 町の中は意外と無傷で、この対岸直ぐ傍に『ゾーマの城』があるのが不思議な位である。 『結界』を解く方法の手掛かりを探すため、 勇者アイリは、最初にラダトーム王と謁見することにした。 警戒心の強い門番に最初遮られたものの、 アイリが凛とした表情で自分が『勇者』だと告げると、 意外なほどスッと城内に通してもらえた。 謁見の間。 王の名は『ラルス一世』という。 若い頃は美青年であったろう、威厳ある整った顔立ちの初老の男性だ。 「上の世界からよくぞ参った……。 しかし見ての通り、アレフガルドは闇に包まれておる。 ……どうすることも出来ん。」 帰った方が良い……と、いわんばかりにラルス一世は状況を告げる。 アイリは、この無気力な王に嘆息する。 「勇者オルテガもゾーマ討伐に旅立ったが、その後の消息がつかめん。 ……あるいは、もう既に。」 「ち、父は、そんな簡単に死にません!!!!」 王の言葉を遮って、アイリがいきり立った。 「どうして、人の為に闘っている者を信じないで、 そんな簡単に諦めるのですか!!!!」 「……父……とな?」 今確かに、この娘はオルテガを父と呼んだ。 ラルス一世は驚愕する。 「……もう、いいですわ。 アイリ。行きましょう……。」 リオが、アイリを優しく宥めた。 当の勇者は失望のあまり、俯いて瞳に涙を溜めている……。 一同は、王に無礼を詫び、謁見の間から退場することとなった。 相変わらずアイリは悔しそうに俯いて、唇を噛んでいる。 「人間というモノは、『人任せ』で『無責任』だな……。」 エビルが、ため息をつく。 城下町に出て周囲を見回すが、住民の誰もが無気力で暗い……。 きっと、闇の空の影響でこうなってしまったのだろうが、それにしても……。 「なんや!! アイリまで暗くなっとるやんか。」 ミーナが、『丸めた羊皮紙』を抱えてアイリに話しかける。 アイリは首を傾げた。 「ミーナ。何持っているの?」 「よ〜、聞いてくれました♪ じゃじゃ〜ん!!!! 『アレフガルドの地図』や♪」 ミーナは、勇者の目の前で羊皮紙を広げる。 「さっきのお城に居た僧侶さんにもろうて来たんや♪ 便利やろ?」 さすがは抜け目がない商人根性である。 アイリはミーナに感謝すると、さっそく地図を覗き込む。 取り敢えず、徒歩で行けそうな町を見つけ、『結界』を解く手掛かりを探すことにする。 __次の目的地は……砂漠の町『ドムドーラ』……。 |
||
■次へ ■前へ ■『DQ3』外伝CONTENTS |