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アレフガルド中央に位置する、大規模都市『ラダトーム』。
奥には『ラダトーム城』が有り、その下に城下町が広がっている。
この闇が無ければ、さぞ美しい白亜の城に違いない……。
町の中は意外と無傷で、この対岸直ぐ傍に『ゾーマの城』があるのが不思議な位である。

『結界』を解く方法の手掛かりを探すため、
勇者アイリは、最初にラダトーム王と謁見することにした。
警戒心の強い門番に最初遮られたものの、
アイリが凛とした表情で自分が『勇者』だと告げると、
意外なほどスッと城内に通してもらえた。

謁見の間。
王の名は『ラルス一世』という。
若い頃は美青年であったろう、威厳ある整った顔立ちの初老の男性だ。

「上の世界からよくぞ参った……。
 しかし見ての通り、アレフガルドは闇に包まれておる。
 ……どうすることも出来ん。」
帰った方が良い……と、いわんばかりにラルス一世は状況を告げる。
アイリは、この無気力な王に嘆息する。
「勇者オルテガもゾーマ討伐に旅立ったが、その後の消息がつかめん。
 ……あるいは、もう既に。」

「ち、父は、そんな簡単に死にません!!!!」

王の言葉を遮って、アイリがいきり立った。

「どうして、人の為に闘っている者を信じないで、
 そんな簡単に諦めるのですか!!!!」

「……父……とな?」
今確かに、この娘はオルテガを父と呼んだ。
ラルス一世は驚愕する。

「……もう、いいですわ。
 アイリ。行きましょう……。」
リオが、アイリを優しく宥めた。
当の勇者は失望のあまり、俯いて瞳に涙を溜めている……。

一同は、王に無礼を詫び、謁見の間から退場することとなった。
相変わらずアイリは悔しそうに俯いて、唇を噛んでいる。

「人間というモノは、『人任せ』で『無責任』だな……。」
エビルが、ため息をつく。
城下町に出て周囲を見回すが、住民の誰もが無気力で暗い……。
きっと、闇の空の影響でこうなってしまったのだろうが、それにしても……。

「なんや!!
 アイリまで暗くなっとるやんか。」

ミーナが、『丸めた羊皮紙』を抱えてアイリに話しかける。
アイリは首を傾げた。
「ミーナ。何持っているの?」

「よ〜、聞いてくれました♪
 じゃじゃ〜ん!!!!
 『アレフガルドの地図』や♪」

ミーナは、勇者の目の前で羊皮紙を広げる。
「さっきのお城に居た僧侶さんにもろうて来たんや♪
 便利やろ?」
さすがは抜け目がない商人根性である。

アイリはミーナに感謝すると、さっそく地図を覗き込む。
取り敢えず、徒歩で行けそうな町を見つけ、『結界』を解く手掛かりを探すことにする。

__次の目的地は……砂漠の町『ドムドーラ』……。
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『DQ3』外伝CONTENTS