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丁度その頃、ゾーマ城と呼ばれる大魔王城では、
偵察隊が『勇者オルテガ』の所在を確認したとの報告が入った。

「サタンとキングは何処に行ったのだ……?」

総司令官ブロス(バラモスブロス)は、出動要請をかけようにも、
軍を率いる筈の上官2人が不在の為、途方に暮れていた。
「お前達、サタンとキングを知らんか?」
城内下端の魔物を捕まえては聞いて回る。
その内、所在を知っているモノが遂に口を割った。

「サタン様とキング様は、『勇者アイリ』と『勇者アクシズ』を捕らえに行きました……。」
「なんじゃとおおおおお!!!!?」
ブロスが驚愕する。

__奴ら、その場で殺す気か……!!?


アレフガルドの唯一の港で、
勇者達と魔王軍幹部二人との戦闘が続いていた。

アクシズは、肩で息をしながらサタン相手に攻防を続けている。
ふと、アイリに目をやる。
彼女の疲労はもうすぐ限界に達していた。

回復呪文は傷を治しても、疲労までは治せない。
それに今、余計に魔法力を消耗すると、今度は集中力を持続できない。
長期戦では、ほんの少しの消耗が命取りになる。

アイリは、キングの攻撃をかわしながら、信じられないものを見ていた。
なんと、あのリリムがスライムベスを抱っこしながら、この戦闘を見ているではないか!!

「お姉ちゃん……。」

キングが……ふと、冷たく微笑した。
……と、アイリの目の前から消え……。

__……!!?

「な、何を……!?」
一同、驚愕する。

キングは、リリムを片腕で抱き、その小さな細い首筋に、ぴた……と鎌の刃を当てた。
幼女は恐怖のあまり身動きが取れない。
「悪人は悪人らしくさせてもらいますよ♪
 ね、アイリ様。」
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『DQ3』外伝CONTENTS