<5> | ||
丁度その頃、ゾーマ城と呼ばれる大魔王城では、 偵察隊が『勇者オルテガ』の所在を確認したとの報告が入った。 「サタンとキングは何処に行ったのだ……?」 総司令官ブロス(バラモスブロス)は、出動要請をかけようにも、 軍を率いる筈の上官2人が不在の為、途方に暮れていた。 「お前達、サタンとキングを知らんか?」 城内下端の魔物を捕まえては聞いて回る。 その内、所在を知っているモノが遂に口を割った。 「サタン様とキング様は、『勇者アイリ』と『勇者アクシズ』を捕らえに行きました……。」 「なんじゃとおおおおお!!!!?」 ブロスが驚愕する。 __奴ら、その場で殺す気か……!!? アレフガルドの唯一の港で、 勇者達と魔王軍幹部二人との戦闘が続いていた。 アクシズは、肩で息をしながらサタン相手に攻防を続けている。 ふと、アイリに目をやる。 彼女の疲労はもうすぐ限界に達していた。 回復呪文は傷を治しても、疲労までは治せない。 それに今、余計に魔法力を消耗すると、今度は集中力を持続できない。 長期戦では、ほんの少しの消耗が命取りになる。 アイリは、キングの攻撃をかわしながら、信じられないものを見ていた。 なんと、あのリリムがスライムベスを抱っこしながら、この戦闘を見ているではないか!! 「お姉ちゃん……。」 キングが……ふと、冷たく微笑した。 ……と、アイリの目の前から消え……。 __……!!? 「な、何を……!?」 一同、驚愕する。 キングは、リリムを片腕で抱き、その小さな細い首筋に、ぴた……と鎌の刃を当てた。 幼女は恐怖のあまり身動きが取れない。 「悪人は悪人らしくさせてもらいますよ♪ ね、アイリ様。」 |
||
■次へ ■前へ ■『DQ3』外伝CONTENTS |