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地下世界アレフガルド。 深い闇に覆われており、昼と夜の区別も無く、星空も雲も無い。 アレフガルドの中央には、ラダトーム城が有り、対岸に闇の城がある。 そのラダトームから西の小島に港が有り、様々な船が何隻か碇泊していた。 「あ、ベスちゃん。待って。」 小さな5歳くらいの幼女が、スライムベスを追いかける。 人に飼われているらしいその魔物は、 幼女が遊んでいるものと勘違いし、ひたすら逃げる。 ……と。 「ぴきいいいいい!!!!」 いきなり魔物は警戒して鳴いた。 いったいどうしたのかと、幼女がスライムベスの視線の先を追うと、 巨大な魔物と人間達が……!!!! ストンと腰を抜かした幼女を、 人間達の代表らしい黒髪の美少女が慌てて支える。 「ごめんね。脅かしちゃったね。」 澄んだ優しい瞳に見つめられ、幼女にも彼女が悪い人では無いと悟ったようだ。 勇者達は、ギアガの大穴を通り地下世界に降り立った。 その落下到着地点が、丁度この港だったわけである。 彼らは幼女の誘いを受け、港の家でしばらく厄介になることになった。 「あんた方、上の世界の人だね。」 人の良さそうな港の主(あるじ)が、話しかけてくる。 ここの幼女はすっかりアイリに懐いてしまい、 彼女の膝の上で抱っこされている。 「はい。スイマセン。 すっかりお世話になってしまって……。」 「ねえ、ねえ。お姉ちゃん!! 上の世界のお話して〜♪」 「こらこら、リリム。駄目だよ。」 彼はリリムをアイリの膝から引き剥がそうとするが、 幼女はしがみ付いたまま離れない。 アイリは思わず苦笑いする。 「アクシズ……。思わぬ所にライバルがいたわね……。」 「……。」 エルマが、勇者アクシズを突っつく。 だが、彼は相変わらず窓の外を見つめたまま、沈黙している。 その表情は獲物を射るときのように真剣だ……。 「……やれやれ、もう来ちゃったのかしら?」 エルマが嘆息すると、アクシズはやっと重い口を開いた。 「ちょっと見回りに行って来る……。」 「はい、はい。 くれぐれも、無理しないでね。」 __? アクシズと、エルマの会話のやり取りと、微小な殺気。 アイリが周囲を見回すと、 アクシズのパーティ(アクシズ、ディート、エビル、エルマの4人。)だけ、 室内に居ながら、既に戦闘状態に入っているように感じられる。 一方、自分の仲間といえば……。 「こんなに真っ暗じゃ商売出来へん……。」 「でも、日焼けしませんわよ♪」 「リオにはどんな環境もプラスに働くらしいな……。」 アイリ側の仲間(リオ、クリス、ミーナの3人。)は、 暢気に世間話をしているだけであった。 __本当に大丈夫かしら……。私達……。 思わず項垂れてしまう。 ……と、いつの間にか、部屋からアクシズの姿だけが消えている。 __……アクシズ? 彼一人で一体何処に行ったというのか……。 |
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