「ごめんね……。お母さん……。」 アイリはこの日、初めて母に嘘をついた。 家族が寝静まる深夜、静かに自宅を後にする……。 __私には、まだ『やること』があるの……。 そう……。 彼女に課せられた使命とは『大魔王ゾーマ』討伐……。 |
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ネクロゴンド地方、『ギアガの大穴』。 アイリは不死鳥ラーミアと共に、この地へ降り立った。 「今まで、ありがとう。ラーミア……。」 愛しそうに、不死鳥の喉を撫でる。 くうう……と、一鳴きするとラーミアは羽ばたき、 再び空へ舞い上がった。 __いっちゃった……。 ラーミアを見送った後、 『ギアガの大穴』の崩れた城壁内では、既に仲間が待っていた。 「覚悟は出来たか?」 と、大型モンスター・バラモスエビルのエビルが聞いてくる。 「アイリだけに怖い思いさせませんわ!!」 僧侶リオは凛とした微笑を見せる。 「ここからは、誤魔化しは効きませんよ?」 すっかり武装した賢者ディートが諭す。 「せいぜい、足手まといにならないようにしなさいよ。」 面倒くさそうに、盗賊エルマ。 「それって、ウチに言ってるん!?」 エルマの発言に、商人ミーナが突っ込みを入れる。 「まだ、究極の酒に会ってないからな。」 と、戦士クリスが微笑む。 皆、自分なりの覚悟を背負ってここまでやって来たのだ……。 最後に勇者アクシズが、アイリの傍まで近づいて来る。 そして、彼女の正面に立ち、瞳を真っ直ぐ見つめる。 「アクシズ……。」 「いいか。ここから先は魔王軍との戦争だ。 俺も、何処までお前を守ってやれるか分からない。」 つまり、勇者アクシズ達も、 勇者アイリ達と一緒に闘ってくれるということだ。 アイリは、嬉しそうに微笑んで頷いた。 |
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