<5>
「二人とも何処行っていたんだ!!
 皆心配したんだぞ!!」
『竜の女王の城』から『アリアハン』に戻ったアイリとエビルを見つけて、
アクシズが一目散に駆けて来る。

__『優しい子』か……。

竜の女王の言葉を思い出し、エビルが苦笑いしながら、
アクシズの頭をクシャクシャと撫でた。
ありえない仲間の行動。
彼は思わず驚愕する。

「な、なんだ!?
 気持ち悪い……。」
「気持ち悪いとは失礼だな。
 せっかく可愛がっているというのに。」
「だから、それが気持ち悪いっていうんだ!!」

アクシズとエビルが言い合っている。
はたから見ると痴話喧嘩(ちわげんか)に見えないこともない。
アイリは二人のやり取りを見て思わず吹き出した。
ふと、手元の『光の玉』に目線を移す。
……これがあれば、魔王軍に立ち向かえる。
勇者アイリはそう確信し、竜の女王の形見を抱き締めた。


一方その頃、地下世界の大魔王の居城では、
地上界偵察部隊より「竜の女王が崩御(死去)された」と報告が届いていた。

「何処行くんです。
 そこは出口ですよ?」

報告を聞いた後、
踵(きびす)を返し去っていくサタンの姿を見つけ、キングが声をかけた。

「偵察だ。」
「ほぉ〜。真面目ですねぇ。」
上官自ら偵察などありえない。
キングは面白そうに笑った。

「大丈夫ですって。
 勇者達は自分から降りてきますよ♪
 あわてない。あわてない♪」
「……。」
「あ、勇者オルテガの方ですか?
 私が助けちゃったから?」

__……いちいち、気に障る貴様がいるからだ!!

サタンは、キングに対して湧き起こる殺意を押さえ、城から出て行った。
彼の行き先は、ギアガの大穴落下地点付近。

彼の使命は、『勇者だけを生きたまま、大魔王城に連れてくること』だった。
この次の[STORY_3]へ
前へ
『DQ3』外伝CONTENTS