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「二人とも何処行っていたんだ!! 皆心配したんだぞ!!」 『竜の女王の城』から『アリアハン』に戻ったアイリとエビルを見つけて、 アクシズが一目散に駆けて来る。 __『優しい子』か……。 竜の女王の言葉を思い出し、エビルが苦笑いしながら、 アクシズの頭をクシャクシャと撫でた。 ありえない仲間の行動。 彼は思わず驚愕する。 「な、なんだ!? 気持ち悪い……。」 「気持ち悪いとは失礼だな。 せっかく可愛がっているというのに。」 「だから、それが気持ち悪いっていうんだ!!」 アクシズとエビルが言い合っている。 はたから見ると痴話喧嘩(ちわげんか)に見えないこともない。 アイリは二人のやり取りを見て思わず吹き出した。 ふと、手元の『光の玉』に目線を移す。 ……これがあれば、魔王軍に立ち向かえる。 勇者アイリはそう確信し、竜の女王の形見を抱き締めた。 一方その頃、地下世界の大魔王の居城では、 地上界偵察部隊より「竜の女王が崩御(死去)された」と報告が届いていた。 「何処行くんです。 そこは出口ですよ?」 報告を聞いた後、 踵(きびす)を返し去っていくサタンの姿を見つけ、キングが声をかけた。 「偵察だ。」 「ほぉ〜。真面目ですねぇ。」 上官自ら偵察などありえない。 キングは面白そうに笑った。 「大丈夫ですって。 勇者達は自分から降りてきますよ♪ あわてない。あわてない♪」 「……。」 「あ、勇者オルテガの方ですか? 私が助けちゃったから?」 __……いちいち、気に障る貴様がいるからだ!! サタンは、キングに対して湧き起こる殺意を押さえ、城から出て行った。 彼の行き先は、ギアガの大穴落下地点付近。 彼の使命は、『勇者だけを生きたまま、大魔王城に連れてくること』だった。 |
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