<4>
「ずっと、貴女を待っていました……。」
アイリが泣き止み、落ち着くのを待った後、
竜の女王は凛とした表情に戻り彼女を見つめた。

女王は懐から、金色の宝玉を取り出す。
最初はオーブだとも思ったがどうも大きさが異なる。
直接アイリに手渡す。
宝玉は、彼女が手にしたとたん、待っていたかのように輝き始め、
周囲を眩いばかりの光で覆う。

「『光の玉』です……。」
女王が宝玉の正式名称を、勇者達に告げた。
その名を聞いて、エビルが驚愕する。
「じょ、女王様!!?
 『光の玉』は神竜一族の秘宝なのでは……!!?」
そんな大事な物を何故!? ……と、エビルは狼狽するが、女王は構わず続けた。

「……大魔王ゾーマの脅威は、遂に地上界にも及ぼうとしています。
 『光の玉』で、大魔王の『闇の衣』を剥がせるでしょう……。
 ……是非、貴女達の手で……。
 ……これから、産まれてくる……、
 ……私の赤ちゃんの……為にも……!!」

「女王様!!!!」
突如激しく苦しみ出した竜の女王を支え、アイリは叫んでいた。
胸に『光の玉』を抱えながら……。
女王は物凄い力でアイリの肩を掴み、苦しみに耐えていた。
その瞬間……!!

__卵が……!?

何と、卵が無事産み落とされたではないか……!!
「……。」
女王が、最期に微笑み……、動かなくなった……。

「女王様……!?」
アイリは、女王の身体を揺する。
だが、彼女は動かない……。
……そう。
……もう二度と。

「……女王様。
 ……赤ちゃん……、ちゃんと産まれたよ……。
 おめでとう……。」
竜の女王の冷たくなった身体を抱き締め、アイリは祝いの言葉を述べた。
頬を涙が伝う……。
エビルは何も言えず、その場に立ち尽くしていた。
次へ
前へ
『DQ3』外伝CONTENTS