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ネクロゴンド地方の盆地のなかに浮島があり、 そこからギアガの大穴に通じている。 勇者アクシズ一行は、4人揃って強大化した大穴を見下ろしていた。 「本格的に動き出したか……。」 アクシズは拳を握り締め唇を噛む。 エビル(バラモスエビル)はそのままの位置から、 視線だけ、主を失ったバラモス城に移した。 「余計な事をしてくれたみたいだな……。 奴を怒らせただけのようだ……。」 今度は自分たちの勇者に視線を移す。 「……。」 アクシズは黙ったまま何も答えなかった。 彼等の言う[余計な事]とは、魔王バラモス討伐のことだ。 ディートは今までにない深刻な表情で、その無言を代弁する。 「正直、僕たちは彼女が本当にバラモスを倒すなんて、 信じてなかったんですよ。 彼女の『純粋な正義感』に付き合っているだけだった……。」 「……純粋な正義感ね……。」 エルマが賢者の言葉を繰り返した。 「確かにとっても可愛い子だったけどね。 正直、あまり賢くない選択だわ……。 あたし達だって、しっかりマークされてんのに……。」 「やめろ!!!!」 アクシズが一喝する。 今までにない気迫に押されて3人は黙ってしまう。 気まずい沈黙の中、 勇者はギアガの大穴から溢れ出る[闇の衣の片鱗]を手ですくった。 手から零れ落ちる闇を握り締めると、闇はすっと空気に溶けた。 __とりあえず、こいつが消えないと地下世界に入れない……。 密かに愛してやまない少女の笑顔が脳裏を過ぎる。 これから、その彼女に如何なる恐怖が襲い掛かるか計り知れない。 最初からこのことを説明しておけば、 彼女は地獄に通ずる闘いを、辞めてくれたのだろうか……。 アクシズは判らなくなった。 __アイリ……。俺は間違っていたのだろうか……。 仲間達は沈黙したまま動かない勇者を、心配そうに見つめていた。 |
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