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ラダトーム対岸に位置する、『ゾーマの城』。

ラルス一世の不穏な動きをいち早く察知した、
総司令官ブロス(バラモスブロス)は、
亡きサタンの部下を集め、ラダトーム襲撃の準備を進めていた。

『珍しいな、ブロス。
 お前自ら出動するとは……。』

大魔王ゾーマが、闇の中から声をかける。
既に、『勇者の魂』が入っていた透明の筒は、空になっていた。
ゾーマは『勇者サイモンの魂』を、その身に取り込んでいたのだ。

「ゾーマ様。
 勇者アイリは、既に『結界』を解く為の神器を2つ手に入れたそうです。」
ブロスが真剣な表情で言うと、闇の王は微笑する。

『知っている……。
 これでも、ワシは魔界の預言者なのだ。』

天竜クライン側の『勇者の魂』の効果は絶大であった。
盲目であったゾーマの視力が完全に戻り、
闇にその身を置かずとも良くなったのだ。
これならば、全員の『勇者の魂』を吸収すればもっと強くなることが出来る!!

『結界ならば、壊せばよい。
 精霊ルビスが復活したところで、ルビスはワシには勝てん。
 ただ、お前達は勇者達を苦しめてやればよい。
 ワシを憎めば、ワシを倒しにやってくる……!!』

大魔王ゾーマは、闇から身を乗り出し、その姿をブロスに見せた。

ゾーマの形が、多少変形している……!!

ブロスは、更に強大になっていく闇の君主に驚愕する!!

『ブロスよ。ラダトームは取るに足らぬ。
 捨て置けば良い。
 アリアハンの時のように、ワシに任せておけば良い。』

ゾーマは、そう言って深い笑い声を城内に響かせた。
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『DQ3』外伝CONTENTS