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「アイリ。 お前はジパングに行った事あるんだってな。」 宿へ戻る道中、カンダタがアイリに話しかける。 当の彼女は、久しぶりにアクシズにキスされ、未だに戸惑っていたが、 彼の視線に気が付くと、慌てて頷いた。 カンダタは、アイリの相変わらずの純情振りに思わず嘆息する。 __こりゃ、特に『進展』は期待出来そうにないなぁ……。 彼が呆れるほど、アクシズとアイリは『奥手』なのである。 ……と、いうか奥手のアクシズが大胆にも見える程、アイリは純情だった。 再会した時、抱擁が無かったのも、仲間が見ていたことによる、 『照れ』からきていたようだ とにかく、アイリにはストレートに愛情表現しなければ、男心は伝わらないらしい。 「どうする。 このまま、待つか?」 「うん。 だって私の為に『王者の剣』を鍛えてくれているし……。」 「お前。 アイツが何時からお前に惚れてたか知ってるか?」 カンダタに意外な質問をされ、アイリは唖然とする。 彼はまたしても鈍感なアイリに嘆息する……。 「全く、鈍感だな〜〜〜おめえは……!! 最初からだってよ。 少しは気付いてやれ。」 __え……!? ドキリとして、アイリは立ち止まった。 アクシズは、アイリに一目惚れしていたのだ。 そんな彼の気持ちなど、今までどれだけ通り越してきただろうか……。 だが……。 覚醒したアイリの力を、アクシズは知らない。 もし、それでも彼に愛してもらえるのなら、これ以上幸せなことは無い……。 勇者として一人前でも、女としてはどうだろうか……。 アイリは自分に自信が持てなかった。 __ごめんね。アクシズ……。 私、本当は貴方に嫌われるのが怖いの……。 私だって、最初から貴方が好きだったから……!! アイリも、初めてロマリアでアクシズを見たときから、彼を好きになっていた。 だが、彼に勇者だとあっさり見破られてから、半ば諦めてしまっていたのだ。 複雑なところ、エルマを彼の彼女だと勘違いしていたところもあった。 カンダタが先に行ってしまったのを見計らって、 アイリは、アクシズが使用していた『バスタードソード』を抱き締めた。 |
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