<2>
アイリは、アクシズとカンダタと一緒に、その鍛冶屋を訪れる。
鍛冶屋は、奥まった所に建っていたが、中は新しくキレイであった。
村人にいかに歓迎されているのかが伺える。

「『王者の剣』ですか……。」
ジパング人だと一目で解かる衣装で、
刀鍛冶は手渡されたオリハルコンを見つめる。
「確かに、私は『オリハルコンを鍛えられる槌(つち)』を持っています。
 ただ……。」
「ただ……?」
彼が顔を曇らせたのを見逃さず、アイリは心配そうに問いかける。

「『火』が無い……。
 オリハルコンを溶かす程の『火』は、石炭を燃やした程度では出来ません。
 太陽の熱か、マグマでも無い限り……。」

「マグマなら、俺が呼べる。」
刀鍛冶が言い終わるのを待って、アクシズが真剣な表情で言う。

アクシズは、その血筋からガイア神の加護を受けている。
ガイア神は、ネクロゴンド火山を保護し、大地より奇跡を起こすとされていた。

「俺も、剣作りに協力しよう。
 貴方に『ガイアの剣』を鍛えてもらったお礼だ。」
彼の強い言葉に、刀鍛冶は頷いた。
「……して、使い手はどなたでしょうか?」

「私です。」
アイリは、凛として答えた。

刀鍛冶は、華奢な美しい娘が『王者の剣』を使用することに一瞬驚愕したが、
彼女の瞳の奥に何かを感じ、納得したのだった。
彼は、徐に頷くと、アイリに向き直る。

「それでは、やりましょう。
 しばらく、アクシズさんをお借りします。
 2、3日したらまた来て下さい。」

鍛冶屋に言われて、一瞬躊躇ったアイリだが、
アクシズは今すぐココで手伝わなければならない。
アイリは徐に恋人に近づくと、彼の手を握り締め。
「頑張ってね……!!」
と、声をかけた。
彼は頷くと、彼女の肩を抱き寄せ、半開きになった唇に、自分の唇を重ねる。
そして直ぐ身を離すと、『ガイアの剣』を鞘から抜き放った。

アイリは、彼の行動に頬を染めて一瞬呆然としたが、
カンダタに急かされ、精錬場を後にした。

「じゃあ、始めましょうか……!!」

「ああ!!」
アクシズは、『ガイアの剣』を地面に突き立てると、地中からマグマを呼んだ。
次へ
前へ
『DQ3』外伝CONTENTS