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アイリは、アクシズとカンダタと一緒に、その鍛冶屋を訪れる。 鍛冶屋は、奥まった所に建っていたが、中は新しくキレイであった。 村人にいかに歓迎されているのかが伺える。 「『王者の剣』ですか……。」 ジパング人だと一目で解かる衣装で、 刀鍛冶は手渡されたオリハルコンを見つめる。 「確かに、私は『オリハルコンを鍛えられる槌(つち)』を持っています。 ただ……。」 「ただ……?」 彼が顔を曇らせたのを見逃さず、アイリは心配そうに問いかける。 「『火』が無い……。 オリハルコンを溶かす程の『火』は、石炭を燃やした程度では出来ません。 太陽の熱か、マグマでも無い限り……。」 「マグマなら、俺が呼べる。」 刀鍛冶が言い終わるのを待って、アクシズが真剣な表情で言う。 アクシズは、その血筋からガイア神の加護を受けている。 ガイア神は、ネクロゴンド火山を保護し、大地より奇跡を起こすとされていた。 「俺も、剣作りに協力しよう。 貴方に『ガイアの剣』を鍛えてもらったお礼だ。」 彼の強い言葉に、刀鍛冶は頷いた。 「……して、使い手はどなたでしょうか?」 「私です。」 アイリは、凛として答えた。 刀鍛冶は、華奢な美しい娘が『王者の剣』を使用することに一瞬驚愕したが、 彼女の瞳の奥に何かを感じ、納得したのだった。 彼は、徐に頷くと、アイリに向き直る。 「それでは、やりましょう。 しばらく、アクシズさんをお借りします。 2、3日したらまた来て下さい。」 鍛冶屋に言われて、一瞬躊躇ったアイリだが、 アクシズは今すぐココで手伝わなければならない。 アイリは徐に恋人に近づくと、彼の手を握り締め。 「頑張ってね……!!」 と、声をかけた。 彼は頷くと、彼女の肩を抱き寄せ、半開きになった唇に、自分の唇を重ねる。 そして直ぐ身を離すと、『ガイアの剣』を鞘から抜き放った。 アイリは、彼の行動に頬を染めて一瞬呆然としたが、 カンダタに急かされ、精錬場を後にした。 「じゃあ、始めましょうか……!!」 「ああ!!」 アクシズは、『ガイアの剣』を地面に突き立てると、地中からマグマを呼んだ。 |
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