__ルビス様……。どうして私なのですか……? 勇者アイリは悩み、項垂れた……。 ラダトーム王城で、ラルス一世が戦意を取り戻したまでは良かった。 仲間達も、自分の為に動く……。 同じ『勇者』と呼ばれる者まで、自分を『真の勇者』だと崇める。 それが、どんなに本人にとって虚無感に襲われることか、皆には理解出来ない……。 |
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アレフガルド、北西に位置する、 『マイラ』の村。 勇者アクシズが、瞬間転移呪文『ルーラ』でココまで仲間達を導いた。 やはり、この村では来訪者に対して歓迎振りが良い。 中でも、勇者アクシズと賢者ディートのような美青年に、 村娘達は、またしても宿の前でキャーキャー騒いでいる。 それが面白くないのは、リオ達である。 リオは嫉妬心から、ディートを中々表に出そうとしない。 一方、アイリはアクシズと、カンダタの居る部屋で談議していた。 「『オリハルコン』を持ってるんだってな。」 カンダタが、本題を切り出す。 「なあ、アクシズ。 俺は以前、お前に渡したボロボロになった『ガイアの剣』を、 ここで鍛えなおしてもらったって言ったよな。」 「ああ。」 アクシズは、言われて自分の『ガイアの剣』を鞘から抜く。 アイリは、思わず驚愕する。 「確か、ソレは私が『ネクロゴンド火山』の火口に放り投げた筈じゃあ……!!」 彼女の言葉に、2人は頷く。 「ここの鍛冶屋は、ちょっと変わっていてな。 俺たちと同じ上の世界の住人だったらしい。 でも、俺はジパングなんて行った事ないからよく解からないけどな。 生贄騒動があったとか何とかで逃げてきたんだとよ。」 そう言って、カンダタは頭を掻いた。 __ジパング!? アイリは、とっさに『八叉ノ大蛇』と闘った時を思い出す。 あの時自分は、生贄にされる予定だった弥生の代理で、わざと生贄になり、 八叉ノ大蛇を退治したのだ。 「確かに、『ガイアの剣』を鍛えなおせる鍛冶職人なんてめったにいないよな。 しかも、きちんと魔力を取り戻している。」 アクシズは、感心しながら剣を見つめる。 剣には、しなやかな光沢があり、以前より刀身が鋭くなっているのだった。 |
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