__ルビス様……。どうして私なのですか……?

勇者アイリは悩み、項垂れた……。

ラダトーム王城で、ラルス一世が戦意を取り戻したまでは良かった。
仲間達も、自分の為に動く……。
同じ『勇者』と呼ばれる者まで、自分を『真の勇者』だと崇める。
それが、どんなに本人にとって虚無感に襲われることか、皆には理解出来ない……。
<1>
アレフガルド、北西に位置する、
『マイラ』の村。

勇者アクシズが、瞬間転移呪文『ルーラ』でココまで仲間達を導いた。
やはり、この村では来訪者に対して歓迎振りが良い。
中でも、勇者アクシズと賢者ディートのような美青年に、
村娘達は、またしても宿の前でキャーキャー騒いでいる。

それが面白くないのは、リオ達である。
リオは嫉妬心から、ディートを中々表に出そうとしない。

一方、アイリはアクシズと、カンダタの居る部屋で談議していた。

「『オリハルコン』を持ってるんだってな。」
カンダタが、本題を切り出す。
「なあ、アクシズ。
 俺は以前、お前に渡したボロボロになった『ガイアの剣』を、
 ここで鍛えなおしてもらったって言ったよな。」
「ああ。」
アクシズは、言われて自分の『ガイアの剣』を鞘から抜く。
アイリは、思わず驚愕する。
「確か、ソレは私が『ネクロゴンド火山』の火口に放り投げた筈じゃあ……!!」
彼女の言葉に、2人は頷く。

「ここの鍛冶屋は、ちょっと変わっていてな。
 俺たちと同じ上の世界の住人だったらしい。
 でも、俺はジパングなんて行った事ないからよく解からないけどな。
 生贄騒動があったとか何とかで逃げてきたんだとよ。」
そう言って、カンダタは頭を掻いた。

__ジパング!?

アイリは、とっさに『八叉ノ大蛇』と闘った時を思い出す。
あの時自分は、生贄にされる予定だった弥生の代理で、わざと生贄になり、
八叉ノ大蛇を退治したのだ。

「確かに、『ガイアの剣』を鍛えなおせる鍛冶職人なんてめったにいないよな。
 しかも、きちんと魔力を取り戻している。」
アクシズは、感心しながら剣を見つめる。
剣には、しなやかな光沢があり、以前より刀身が鋭くなっているのだった。
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