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「じゃあミーナ姐さん。 そろそろ出ますか?」 コッソリ持ち出していたのか、 牢獄の鍵をズボンのポケットから取り出し、若者は微笑した。 唖然とするミーナに、彼は更に意外な事を言う。 「姐さんが牢屋に入ってから、コノ町は何も変化してません。 これ以上大きくならないんです。 本当に、不思議でしたよ。 姐さんがしたことを、誰でも出来るって思ってたんですよね。」 敬愛と反省を込めてか、彼の表情は重くなっていた。 だがミーナは笑顔になる。 「もう、この町はココまでが限界や。 これ以上、変化せえへんよ。 まあ、大きくなる時は、勝手に大きくなるやろ。」 「そ、そんな、楽天的な……!!」 狼狽する彼を尻目に、彼女は牢獄内を見回し始め、呆れたように嘆息する。 この牢獄は、町の悪党を懲らしめる為に建てたものだが、 まさか自分が入る羽目になろうとは。 苦笑いしか出ない。 「ウチは、何でも楽天的に考えるように出来とんのや!! 分かったら、さっさと出さんかいな!!」 __さっきまで、真面目な会話してたのに……。 ミーナに叱咤され、しぶしぶ牢獄の扉を開けながらも、若者の心は晴れやかだった。 住民の反乱にミーナが落ち込み過ぎて、自分を見失わないか心配していたからだ。 だが、元々明るい彼女は、自分の非を反省したものの、そこまではいかなかったらしい。 牢獄を出た後、彼女は久し振りの外の空気を目一杯浴びるかのように大きく伸びをする。 「これからどうするんですか?」 若者に問われ、ミーナは元気に答えた。 「アイリのバラモス退治に加勢するんや。 だから、次の町長は、アンタな♪」 「町長……って、ええ!!?」 驚愕し、思わず腰を抜かす若者。 すっかり彼女の言動に振り回されている。 だが、屋敷に戻ったミーナは、おかまいなしに自室の金庫を開けた。 そして、全財産から約3分の1のゴールドを抜き取り、袋へ入れる。 旅支度を整えると、足早に外へ出る。 町を出ようとして商人ミーナは、ふと振り返る。 しかし未練は無い。 __次の町造りは失敗せえへん!! 次が有るのかは分からない。 今後、商人冥利に尽きるチャンスがあるなどと、今の時点では思えない。 だが、取り敢えず、更なる目標で自分を奮い立たせると、 『キメラの翼』を放り投げ、ミーナはアリアハン国へ戻って行った。 |
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