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「結局、依頼ってのは嘘だったのか!?」 女王は潤んだ瞳で俯いた。 今にも泣き出しそうだ……。 泣かれても困る……。 「私は、勇者オルテガ様に憧れていました。 でも、オルテガ様は妻子持ちですし、全然振り向いて下さらなかった。」 __そりゃ、当然だと思うが……。(相手がこれじゃ、浮気する価値もないと思うぞ。) 「それで貴方のお姿を拝見してから、私、朝も昼も夜も想い続けて……。」 「さっき、俺とは初対面って言いませんでしたっけ?」 「どうして、アクシズ様のこと、こんなに愛していますのに!?」 「……帰ります。」 ……それ以前に、俺には既に心に決めた人がいるんだ。 「お気持ちは有難いですが、俺には恋人がいます。」 俺がはっきり言うと、女王はきょとんとした表情になった。 思わず、アイリのことを恋人と断言したが、彼女はどう思うだろうか……。 「……だから帰ります。」 「貴方もですか……。」 女王は寂しそうに微笑んだ。 「その恋人とは勇者アイリ様ですか?」 「!?」 天然なのに勘は鋭い。 女の勘というものに驚きつつも、俺は力強く頷いた。 「……でしたら私では太刀打ちできませんね……。」 __俺だってまだ、自分が本当に彼女に相応しい男か、判らないんだ……。 「あ、まだ依頼していませんでしたね。」 「?」 「実はとある方に求婚されていまして……。 断りたいのですが、私に相手がいると解かれば諦めて下さると思い……。」 「その役目を俺に?」 「本当にアクシズ様が私の恋人になって下さればもっとよかったのですが。 駄目なら振りだけでも、と……。」 ……それやって、アイリに誤解されたら、俺がお終いなんだが……。 まあ、とりあえずその迷惑な相手の名だけ聞いとこうか。 何とかしてやれるかもしれないし……。 「サマンオサ王ですわ。」 ……がくっ。 あの偽者ボストロールがぁぁぁぁ〜〜〜!!!! 俺は他国にも報告はしとくべきだったと今更ながら後悔した。 「ご心配なく。そいつはもう滅びましたから……。」 「え? そうですの?」 それじゃミッション終了の方向ということで……。 今回は無報酬だが、致し方ない。 女王は何かを俺の手に握らせた。 「?」 掌を広げてみると、指輪が……!!? 「お話、楽しかったですわ。 希少の『祈りの指輪』です。 アクシズ様は必要以上の戦闘はしないと聞いておりますので、 お力になれると思います。」 「ありがとうございます。」 「あ、それから勇者アイリ様にお伝え下さいませ。」 __? 「私は勇者アクシズ様を諦めませんから……て。」 そう言って女王はその美貌で最高の微笑みを見せた。 __は、はは……。 本当、女って怖い……。 |
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