砂漠の国イシス。 不思議な事件とは、ロマンチストだけの特権だと思っていたら、そうでもないらしい。 「アクシズ。 あんた、全く自覚無いんだから少しは気をつけなさいよ!!」 依頼を持って来たエルマが言う。 今思えば、この忠告を聞いておくべきだと後悔するのは、ずっと後のことだった。 |
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サマンオサでアイリと別れてから、俺は次にイシスからの依頼を受けることになった。 確か、ここは女王の統治する国だと聞いたが……。 「遠いところから、よく来て下さいました。」 側近の次女が俺を出迎えた。 心なしか城内へ入ったとたん、複数の視線を感じるのだが……? 見回しても女性ばかりで男性の姿が少ない。 ……と言うか、兵士も女性だ。 「あの方がアクシズ様?」 「素敵な方ですわ〜♪」 「わあ、私にも見せて。見せて♪」 __……!? ……と、とにかく居心地が悪い。 とっとと依頼遂行して帰ろう。 俺はもう半分帰りたい気持ちで謁見の間に通された。 実際にイシス王城へ入るのはコレが初めてだったりする。 __しかし、何で『(俺)一人で来い』という条件なのか……。 考えを巡らせていると、さっそく女王が現れた。 次女の話によれば、年齢は俺の少し年上らしい。 まあ、世界的に美しいとは評判らしいけど、それは人によりけりだからなあ……。 女王は何故か部下を全て引かせ、謁見の間には俺と彼女だけになった。 __よほど、難しい依頼なのか? 最近、魔王軍の侵略も手荒くなっている。 しかも、このような大国であれば狙われないほうがおかしいだろう……。 「よくぞ来て下さいました。」 「では、ご依頼の方を……。」 __? な、何か変だぞ? 俺が狼狽するのも無理ない。 何と彼女は俺の顔に手で触れてきたではないか……!! 彼女の顔が近づくや否や、俺は咄嗟に後ずさった!! 「何故避けるのですか? 皆(男の人は)喜んでくれるのに……。」 「この場合、避けるのが普通でしょう!!」 俺は激しく抗議するが……。 ……て、ちゃんと聞いてますか? 「そうですね。貴方と私は初対面ですものね。」 ……お〜い……そういう意味じゃなくて……。 「あの、すいません。 依頼の内容を『手短に』お願いします……。」 ……ついでに変なことも止めてください。 「護衛をお願いしたいのです。」 「護衛?」 やっとまともな話題になった。 「何処までですか?」 「何処まで行きたいですか?」 「冷やかしなら俺、帰ります……。」 「ああ、冗談ですわ!! 待って下さいませ!!」 リオの上行く天然だな。この女王様。 「勇者アクシズ様。 私のこと、嫌いですか?」 「はぁ!?」 ……何言ってんの、この人!? |
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