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サマンオサは歓喜の波に包まれていた。
俺達は国王に呼ばれ、英雄扱いされる。

城内で宴も行われたが、俺は参加しなかった。

外に出ると、アイリが扉の向こうで待っていた。
平和になったサマンオサの町を二人で歩く。
「やっと、明るくなったね。」
「ああ、これで皆平和に暮らせる。」
「そうじゃなくって、アクシズ。
 あなたのことよ。」
彼女は母親のような優しい瞳で俺を見つめ微笑んだ。

__……俺が?

不意に白いものが降ってきた。
アイリはそれを取るように掌を広げたが、彼女の体温でふと消えてしまう。
「これなに?」
意外な質問だったが、無理もない。
アリアハンでは温かい気候が多く、この自然現象に出会わないのだろう。
雪といっても、積もったものしか見ていない可能性だってある。
「雪だよ。」
俺は、彼女の広げた掌を握って答えた。
アイリは天を見つめ、雪に見惚れる。

「……また、会えるよね?」
「……ああ。」
「約束よ。」
「約束する。」

小指と小指が絡みあい、アイリは満足そうに微笑んだ。

__約束するよ。必ず。

俺はこの時初めて闘い以外の誓いを立てたのだった……。

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