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王の寝室に入る。 中はかなり豪華だったが……。 「何だか悪趣味ですわ。」 リオの目利きに共感を覚えつつ、俺は国王の寝ているベッドへ。 実はここに来る前。 牢獄の更に地下、アイリが「どうしても」と、 俺を引っ張って最深部まで連れて行ってくれた。 そこには、本物の国王がやつれた姿で眠っていたのだ。 「大きくなったの……。」 王は俺を覚えていたらしい。 俺の手を両手で握り締め、号泣する。 「勇者サイモンは元気かの?」 「父は……。」 言いかけてアイリに優しく遮られた。 「元気です。でも、今は遠い所まで行っていて中々戻ってこれないんです。」 「そうか……。それは良かった。」 俺は彼女の優しさに感謝した。 それは俺自身が信じたい言葉でもあったから……。 「こいつが偽者か。」 俺は『ラーの鏡』を覗き込んだ。 ……そこに映っていたのは、異形の魔物。 ボストロール!! 「み〜た〜な〜!!!!」 変身が解け、皆注目する。 「み、醜いですわ……。」 「ちょっと顔が可愛いからって醜いとか、言うな〜〜〜!!!!」 ボストロールがリオに突っかかる。 なんか、拍子抜けしたやり取りだが、確実に奴を怒らせてしまったことには違いない。 「うおおおおおお!!!!」 「……アクシズ!!」 俺は真っ先に飛び出し、奴目掛けて剣を振り下ろした。 ぎいいいいいん!! __硬い!? しかし、怯むことなく次の一撃を喰らわせる。 ボストロールが重心を崩し、そのまま倒れると、アイリも続いて剣を突き立てる。 それは丁度脇の付け根に命中し、奴を苦しめた。 ……が、次の瞬間。 どん!! 鈍い音と共に、奴の拳が彼女の華奢な体を弾き飛ばし、壁に叩き付けた。 「……う。」 痛恨の一撃!? 「アイリ!!」 「やったわね〜!!」 俺が叫ぶと、クリスが逆上して会心の一撃を出す。 「皆、下がって下さい!! 危ないですよ〜〜〜!!」 今度は、リオが制した。 「どうです? 極上の『バギクロス』です!!」 バギ系最高呪文、何時覚えたのか。 しかし、それは巨大な真空波となってボストロールに命中した。 「アクシズ……。 止めを。」 アイリの凛とした声に俺は頷き、奴の眉間に剣の切っ先をのめり込ませた。 ボストロールの頭蓋が軋み、頭が真っ二つに割れる。 ……断末魔さえ許さず、奴は絶命した。 肩で息をする。 服が魔物の返り血で汚れていた。 「勝った……。」 アイリが俺の所へ駆けてきた。 腕を首にまわし、ひしっと抱きついてくる。 ……と、顔を寄せ、俺の唇に口付けた!! 「あら〜?」 ……てことは、あ〜〜、やっぱり!! リオが好奇な目で俺達を見ている。 アイリも自分のしたことに恥ずかしくなり、真っ赤になってリオを追い掛け回す。 __でも、これで解決したな。 サマンオサは平常に戻る。 俺は地下牢最深部の本物の国王の下へ急いだ。 |
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