<4> | ||
「そう。アクシズも勇者だったの……。」 帰りの道中、俺は自分の出生や今までの出来事を包み隠さず彼女に話した。 アイリはどうして早く言ってくれなかったのかと言いたげに呟く。 「何だか私とよく似てるね。」 「そうだな。」 性別以外は……と言いかけて俺は咳払いする。 「うふふ。」 アイリが笑った。そうか。 彼女は少女というよりは女性になった気がする。 ……でも役割が違うから、一緒に旅出来る訳じゃないんだよな。 サマンオサ城下に着くころには、とっくに夜になっていた。 「……経験上、王は城の最上階個室で一人で寝ていると思う。 だから、今が警備も薄いし責め時だ。」 「その前に、皆を解放しないと。」 俺は頷き、先ず地下牢へ向かった。 ……が、しかし。 「アイリ〜。待ってましたわ〜♪」 「ココの酒は不味いぜ。」 囚われの身であった筈の姫君二人はどうも逞しいらしい。 「なんだ。元気そうじゃないか。」 俺が牢を開けると、今度はアイリが口を開いた。 「今から決戦なんだけど、リオ、クリス、闘える?」 「ああ、私は大丈夫だ。 なんせ丈夫さが取り得だからな。 リオは?」 「私も大丈夫ですわ!!」 アイリは、ほっと胸を撫で下ろすと、今度は俺の方を向き真剣な瞳で見つめてきた。 「行きましょう。アクシズ。 私達も加勢するわ!!」 ……やれやれ。でも不思議と悪い気はしなかった。 |
||
■次へ ■前へ ■DQ3外伝『小説』CONTENTS |