<3>
サマンオサ地方南の洞窟に行くことが決まり、
アイリが持つ地図を頼りに南下することになった。
いや、相変わらず俺とは口利いてくれないんですけどね……。
しかも、お互いに仲間が不在ということで二人きりだ。
……気まずい。

洞窟に入り探索を続けるが、どうしても他の道が見つからない。
仕方ないので、もう一度穴だらけの広間に出てみる。

「多分、コノ中のどれかが怪しいんだよな〜。」
俺は穴を覗き込んだが、暗くてよく見えない。
不意に誰かが俺の背を押した。
ちょっとまて!!
その誰かって、アイリしか……!?

いきなり落下。
着地し損ねて何処かしら打つ。

「……って〜!!」
「ご、ごめんなさい。
 大丈夫?」
起き上がろうとすると、なんとアイリが俺の上に乗っている。
同時に落ちたらしい……。
「あ、あの、さっきはごめんね……。
 その、初めてで、どう受け止めたらいいか分からなくて……。」
「……落とし穴が、か?」

アイリは首を振って、顔を真っ赤にした。
そして、囁くような小さな声で……。
「じゃなくて…ね……。
 ……キス……。
 あのね……。
 本当は嫌じゃなかったの……。」
次に彼女は頬を染めて俺の目を真っ直ぐ見つめる。
「嬉しかったよ。」

__……!!

俺は堪え切れなくなって、アイリを抱き締めた。

「アクシズ…?」

……好きだ。
俺はアイリが好きなんだ…!!
なのに、奴の言葉に惑わされそうになって、悩んでいた……。

「やっぱり……渡せない……。」
「……。」
言葉には出来なかったが、俺の気持ちを解かってか否か、
彼女は俺の背中に手を回し抱き返してきた。
距離感が即座に縮んだどころか、引っ付いてしまった気がする。

__……?

今まで気が付かなかったが、何か奥で光っているような……。
アイリも気が付いたらしい。

俺達は身を離すと、その光の方へ向かった。
「『ラーの鏡』!?」
アイリがその光の原因を持ち上げてみる。
確かに普通の鏡にしか見えない。
しかし、手鏡にするには大きいサイズだった。

__これで奴の正体を暴けるぞ!!

俺はずっとこの日を待っていた。
今こそ奴の化けの皮を剥がして、サマンオサを救ってやる!!

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DQ3外伝『小説』CONTENTS