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__嫌な仕事引き受けちまったかな……。 俺が共同墓地へ向かうと、なんとアイリがそこにいた。 あまりのあっけなさに呆れたが、 彼女の話では地下牢獄から墓地へ通じる抜け道があるという。 武器屋の一階。 俺は、そこでアイリを一旦匿うことにした。 __アイリを引き渡せば、親父の居場所を教える…か……。 俺のそんな悩みなど知る由もない。 「それでね。 『ラーの鏡』の場所を知っている人に会ったの。 その人、牢獄に捕まってたけど。」 アイリの口から止め処なく重要事項が発せられているが、俺の目線は違うところにあった。 __雰囲気が違う…? そう。 何か大人っぽくなったような。 以前から彼女は美しかったが、更に増した気がした。 整った顔立ち。 細い女性らしい肢体。 ……。 「?」 アイリが視線に気付いて不思議そうに俺を見た。 刹那……。 止められなかった。 既に俺の唇は、彼女の唇に重なっていたのだ。 俺は遂に彼女に触れてしまった……。 ……瞳が潤んでいる。 や、やばい、今にも泣きそうだ……!! 「ご、ごめん。 ごめん!!」 咄嗟に逃げ出し、隣の部屋に足早に移動。 そして、しゃがんで頭を抱え、……とても後悔した。 __アイリの気持ち、考えてなかった。 「お、アクシズ。 何かしたのか?」 武器屋のオヤジが声をかけてくる。 「ほっといてくれ……。」 「まあ、おめえも男ってこった!!」 褒めてんのか? それ。 「ほら。 熱々のスープ持ってきてやったから飲め。」 俺はオヤジさんからマグカップを受け取り、立ち上がった。 一時間位経って、ようやくアイリが部屋から出てきてくれた。 ……が、しかし……。 「……。」 無言で目を合わせてくれないばかりか、何だ!? この一定の距離感は……!? 駄目だ……。自分が情けなくなってきた。 アイリは俯いたまま食卓に腰掛けた。 「冷めないうちに、ほらよ。」 「あ…、ありがとうございます…。」 彼女はマグカップを受け取り、やっと微笑んでくれた。 オヤジさんが今度は俺の方を向く。 「……で、どうするつもりだ? いつまでもココに匿っとくわけにはいかないだろ。」 「ああ。 とりあえず、その『ラーの鏡』を探しに行こうと思う。 その場所だけど……。」 俺が視線をアイリに移すと、彼女は俯き目を逸らしてしまった。 ……避けられている。 オヤジさんが俺の肩に手を置き、無言の励ましを送ってくれた。 元気出せ……て、感じか。 |
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