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「兄ちゃん、強いっすね……。」
「……まあ、鍛え方が違うからな。」
まさか、コソドロにそんなこと言われるとは思わなかったが……。
まあ、いいか。……で。
「何で、こんな真似した。」
俺は、男が持っていたカードを取り上げて尋問した。
すると、彼は耳まで顔を真っ赤にし、信じられないことを言った。

「こうすれば本物の『シルバーウルフ』に会えると思ったんでさぁ。」
「……!?」

__な〜に〜〜〜!?

お前、本物を怒らせただけだったぞ!!……と言いたかったが、
その言葉をぐっと飲み込んだ。

「『シルバーウルフ』はスゲエ美人って噂でやしたから、どうしても見てみたくて。」
「惚れてんな……。」
「へい。惚れてやす。」

何か、本当にどうでもよくなってきた。

「行け。」
「へ?」
俺の言葉が理解出来ないのか、男は驚愕する。
「だから、今のうち逃げろって言ってるんだ。」
訳は、本物が怖いからなのだが……。
「もう、二度とこんなことするんじゃないぞ。」
……本物に殺されるからな!!
「へ、へい!!
 ありがとうございます!!
 このご恩は一生忘れません!!」
……忘れていいから逃げてくれ。惨劇は見たくない。

かくして、エルマに惚れていた男は無事逃げていった。

「結局、見つからなかったね。」
アイリが俺に残念そうに言う。
……いや、これで良かったんだよ。本当に。

「……てことは『無報酬』じゃない珍しい。」
と、エルマ。

__たまには、こんなこともあるさ……。

「ところで、報酬金額っていくらですの?」
リオの問いに、アイリが依頼書に目を通す。

「えっと、『50000G』だって!!」

驚愕する彼女の傍らで、エルマが嘆息すると、
呆れたように俺に視線を移した。
「たかがコソドロ相手なのに惜しいことしたわね。」

__本当にな。

結局、国宝盗んだのだから無報酬で当たり前だろ。
あ〜あ……。
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DQ3外伝『小説』CONTENTS