「よく来てくださいました。」 田舎者、田舎者と五月蝿いエジンベアの門番が、珍しく丁寧な言葉を使う。 少々気持ち悪い気がするが、とりあえず俺は依頼を聞くため城内に入る。 人間いつも言われることを言われないと違和感を覚える時がある。 しかし、数分後……、俺は本当に気分が悪くなる……。 |
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エジンベア城の謁見の間に通され、俺はとりあえず片膝を付き挨拶をした。 「よく来て下さった。 アクシズ殿。」 国王が出迎えの言葉をかけてくれる。 これも調子が狂う。……どうもさっきから変だ。 「は、はあ……。」 とりあえず俺は、今は適当な返事しか出来ない。 __いったい何だってんだ……? 「ご依頼の件ですが……。」 「おお、そうであった!!」 俺が促すと、国王は大臣に目で支持する。 大臣は頷き、何やら『小さいカードらしきもの』を持って来た。 「ここ最近、城内で事件が頻発しておってのぉ。 皆からの苦情が絶えんのじゃ……。」 困り果てた国王の顔。 「事件?」 「最近、城内で盗難が多発しておるのじゃ。」 「盗難?」 直に自称『大盗賊カンダタ』の顔が浮かんだが……。 「それが、盗難被害現場には、必ずこの『カード』が置いておってのぉ。」 大臣が俺に持っていた小さいカードを渡す。 「『シルバーウルフ』と書いてあっての。見えるじゃろ? 多分、その盗賊の名前だと思うのじゃが……。」 __まさか……!? 俺は慌ててカードを確認した。時には裏面を確認しながら……。 しかし何度確認しても、銀の箔押しで『シルバーウルフ』と印字されている……。 __シルバーウルフって、あのシルバーウルフか…? 「それで奪われた内容は?」 俺は狼狽しながらも聞いてみた。 ……国宝か? だったらアイツならやりかねないが……。 「まず『財布』じゃろ。」 ……はい? 「金品少々に、ネックレス、指輪、イヤリング。道具袋もあったかの。」 「王、道具袋はただの忘れ物で届いてましたぞ……!」 「あ、そうだったかの。以上、被害届けはこれくらいじゃ。 ん? どした?」 俺は思わず、その場にずっこける形となった。 __そ、それはただのコソドロっていうんだ〜〜〜〜〜!!!! |
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