「よく来てくださいました。」

田舎者、田舎者と五月蝿いエジンベアの門番が、珍しく丁寧な言葉を使う。
少々気持ち悪い気がするが、とりあえず俺は依頼を聞くため城内に入る。
人間いつも言われることを言われないと違和感を覚える時がある。

しかし、数分後……、俺は本当に気分が悪くなる……。
<1>
エジンベア城の謁見の間に通され、俺はとりあえず片膝を付き挨拶をした。

「よく来て下さった。
 アクシズ殿。」

国王が出迎えの言葉をかけてくれる。
これも調子が狂う。……どうもさっきから変だ。

「は、はあ……。」
とりあえず俺は、今は適当な返事しか出来ない。

__いったい何だってんだ……?

「ご依頼の件ですが……。」
「おお、そうであった!!」
俺が促すと、国王は大臣に目で支持する。
大臣は頷き、何やら『小さいカードらしきもの』を持って来た。

「ここ最近、城内で事件が頻発しておってのぉ。
 皆からの苦情が絶えんのじゃ……。」

困り果てた国王の顔。

「事件?」
「最近、城内で盗難が多発しておるのじゃ。」
「盗難?」
直に自称『大盗賊カンダタ』の顔が浮かんだが……。

「それが、盗難被害現場には、必ずこの『カード』が置いておってのぉ。」

大臣が俺に持っていた小さいカードを渡す。

「『シルバーウルフ』と書いてあっての。見えるじゃろ?
 多分、その盗賊の名前だと思うのじゃが……。」

__まさか……!?

俺は慌ててカードを確認した。時には裏面を確認しながら……。
しかし何度確認しても、銀の箔押しで『シルバーウルフ』と印字されている……。

__シルバーウルフって、あのシルバーウルフか…?

「それで奪われた内容は?」
俺は狼狽しながらも聞いてみた。

……国宝か?
だったらアイツならやりかねないが……。

「まず『財布』じゃろ。」

……はい?

「金品少々に、ネックレス、指輪、イヤリング。道具袋もあったかの。」

「王、道具袋はただの忘れ物で届いてましたぞ……!」

「あ、そうだったかの。以上、被害届けはこれくらいじゃ。
 ん?
 どした?」

俺は思わず、その場にずっこける形となった。

__そ、それはただのコソドロっていうんだ〜〜〜〜〜!!!!

次へ
コレの一つ前の話『MISSION_3』へ
DQ3外伝『小説』CONTENTS