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目撃情報は『レーベ村付近の森林』……と、なっている。
洞窟の中とかではないらしい。

……だが、それらしき痕跡が見当たらない。

__森林が荒れていない?

確かこういう分野に得意な奴が、俺の仲間にいた……。
さっそく呼びに行こうっと!!

俺がルーラした先は、天界。
……相変わらずコロシアム会場で暇そうにしている。

「別にいいが……。」

『エビル』 は、欠伸(あくび)をしながら返事する。

彼は、『バラモスエビル』という上級モンスターで、とてもいい奴なのだが、
背格好が魔王バラモスに似ているところから、中々地上界に降りようとしない。
しかも、その迷惑な『魔王バラモスと親戚』だとか……。

「……人間に見られると五月蝿いのだが……。」

「大丈夫。
 その時は俺が上手くフォローする。
 とにかく、お前なら魔物の生態に詳しいし、俺じゃドラゴンを見つけられなかったし。」

「ドラゴンの生態は独特だからな……。
 お前のようにな……。」

__……はい?

エビルは、まるで「俺がドラゴン」みたいな言い方をした。
思わず驚愕する俺。

「知らなかったのか?
 元々、『クライン』と『ヴァンベルト』は最上位ドラゴンだぞ。
 私達の間では有名で、知らないと恥ずかしいくらいだ。」

……そ、そうだったのか?
い、いまいち、この辺の文化の違いがわからないが……。

「同族のお前が解からないのでは、私が同行する以外ないようだな。」

……て、いうか俺は人間なんですが……。
「面目ないです……。」
一応謝るが。

……まさか、エビルが俺の仲間になってくれた理由って?

い、いや、ここはあえて聞かないでおこう!!

……多分、俺の思考が泥沼化すると思うから……。

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DQ3外伝『小説』CONTENTS