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ポルトガ地方の海岸。 相変わらず『しびれくらげ』の大群で海が真っ白だった……。 「いいですね……? 僕の貸し出し期間は一週間。 一週間ですよ。延滞料金100Gですよ? ふふふふふ……。」 ……哀れかな。……ディートは既に壊れている。 俺が珍しく手古ずっているということで、 『ポルトガの第一王子ジーク』が参戦すると名乗りを上げていた。 その勇敢さは有難いが……。 __勇気と無茶は別物だぞ? 「こんな雑魚相手ではないか。 総ギルド指折りの魔物ハンターといっても、たいしたことないものだな。」 ……せいぜい、言ってろ。 王子風情に何が出来る。 俺が睨み付けると、ジークも俺を睨み返してきた。 __どうもコイツとは馬が合わない……。 とりあえず、このメンバーでやることになるのか。 ……と、思いきや。 「アクシズ!!!!」 __……え? 可愛らしい声。 ……って、何でお前がここにいる!? そう、ロマリア『バンパイア退治』で出会った、勇者アイリが其処にいた。 しかも、仲間を引き連れて……。 「知り合いですか。アイリ。」 僧侶らしい格好の美少女が、俺達に興味を示す。 「うん。 ロマリアで私を助けてくれた人なの。」 「ふ〜ん。」 「リオ?」 ……? アイリだけでなく、俺も不思議に思って、『僧侶リオ』の目線の先を追うと……。 ……え。ディート? 「運命の人ですわ……。」 何か更に厄介な事になりそうな気が……。 ディートは、相変わらず抜け殻状態だし。 リオって子は完全にディートに一目惚れしているみたいだし……。 しかし、それより厄介なのが……。 「アイリさん。 また、お会い出来て光栄です。」 ジークが恭しく、アイリの手を取る。 ……こ、ここ、この気障野郎!! ……あ゛〜〜、何か無性にイライラする!! 俺は思わずジークの手を叩いた。 「な、何をする!?」 「遊んでいる場合じゃないぞ……!!」 再度激しい睨み合い。 今度は俺達の周囲に黒いオーラが漂う。 しかし……。 「あ、あのう?」 アイリは二人の男心にはまったく気付かず、 全く訳解からないという表情で狼狽していたのだった……。 まあ、今は別にいいが……。今は……。 |
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