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「ハァ〜。男ばかり、倒されるからこうなるのかな……。」 俺もしっかりやらないとな。 「何の話ですか?」 「いや、こっちのこと。」 無意識のうちに口にしていたらしい。 俺は適当にごまかし、頭を掻いた。 とりあえず、ロマリア王国の報酬金は高いので、 仲間に会わせる前にアイリの装備を整えとくか。 裸じゃまずいだろ。 俺は立ち上がって、外套無しのまま装備を整えた。 この方が動きやすい。 「アクシズ?」 慌ててアイリも立とうとするが、俺はそれを制し、再び座らせる。 「俺の呪文の火力は強すぎる。巻き添えにしかねないからな。」 「え?」 「ここでじっとしてろ。」 俺はバンパイアの群れに向かって飛び出した。 __こいつらは雑魚だ。 さっきの泉におびき寄せ、 剣で切り捨てながら出来るだけ固めていく。 「ベギラゴン!!」 俺が唱えた瞬間、泉の水が干上がり、バンパイアの群れが消し炭となる。 急な温度差の為、景色がしばらく陽炎で揺れる。 「アクシズ!!」 待っていられなかったのか、 アイリが俺の外套を羽織ったままやってきた。 そして干上がった泉を見て驚愕する。 「今の呪文は?」 「『ギラ』系最高呪文、『ベギラゴン』だ。」 「ベギラゴン……。」 「それより俺相手に敬語疲れないか?」 「え?」 「別に俺は偉くない。普通でいいぞ。」 まあ、今後会わないとも限らないし。 何故か、これで終わりじゃない気がしていたから、堅苦しいのは抜きだ。 「アクシズ……。」 神妙な面持ちで、アイリは俺を見つめてきた。 「私も貴方みたいに強くなれるかな……。」 __いや、俺はアイリには戦ってほしくない方だが……。 「こんな若い師匠嫌だろ?」 俺の遠まわしの返事にアイリはちょっと考えて、頷いた。 その仕草が可愛い。 「……どっちかって言うと、守られたいかな……。」 そういうとイタズラっぽく微笑んだ。 どうしても俺にはアイリがか弱い女の子にしかみえない。 __何で、世間はコイツを勇者にしたんだ……。 今度は本気で世間を呪いたくなってきた。 「あ、気に障った?」 「違う、違う。」 結局、ロマリアで服を購入することはなくなった。 さっきの泉に戻ったおかげで自分の服を見つけたらしい。 アイリに外套を洗濯して返すと言われたが、俺は断った。 とりあえず、ハンティング成功報酬を受け取るのが先決だからだ。 いつかは俺の正体が勇者とばれる日がくるのか。 または、それは永久に来ないのか。 密かに、彼女との再会を願う俺が其処にいた……。 |
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