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「アクシズ。
 『魔物ハンター』になったんですか?」
幼馴染のディートが、俺の登録証を覗き込んで言う。

「ああ。今さっき、登録を済ませてきたんだ。」
「最初の依頼内容は何ですか?
 良かったら、僕も一緒に行きますよ♪」
「ありがとう。
 是非、そうさせてもらうよ。
 何せ初めてだからな……。」
初めは自分に有利なら、仲間の申し出を素直に受けるのが基本らしい。
大神官バサラが言っていたのを思い出し、俺はディートをパーティに加えることにした。

__依頼内容は……。

「スライムベス大量発生。『ガルナの塔』周辺にて冒険者達の苦情発生。」
「変ですね……。
 スライムベスなんて、この地域には出ない筈ですけど?」
ディートが首を傾げ、依頼書の再確認をする。
そうだよな……。
俺もスライムベスが、どんなモンスターなのか見た事が無い。

__まさか、いきなり『ガセ』だったとかじゃ、嫌だよな〜……。

「ディート。スライムベスってどんな魔物なんだ?」
「そうですね。
 スライムをオレンジ色にした弱い奴ですが、
 聖域呪文『トヘロス』や『聖水』を無効化してしまう能力を持っていて、
 強い魔物といっしょに出てこられると厄介ですね。
 過去に『全滅したとの噂』が出ています。」
「でも、全滅を実際『目で確認した奴はいなかった』訳だ。」
俺が言うと、ディートが頷く。
……これは、あながち『ガセ』でもなさそうだ……。

「アクシズ。
 ワシのアドバイスが聞きたいとな?」
ダーマの大神官バサラに、俺は先ず『ガルナの塔』の地図と、
『聖水』を10個程もらうことにした。
俺が、聖域呪文『トヘロス』を覚えていたら一発なのだが、今は時間が無い。

「討伐依頼の魔物は、普段出会わぬモノばかりじゃ。
 大量発生型は、『巣』を壊滅させぬ限り治まらぬ。
 簡単に言えば、『シミュレーション戦闘』じゃの。」
最後のセリフはよく解からなかったが、一筋縄でいかないのが普通らしい。

「頑張るのじゃぞ。」

そう言って、大神官は俺の頭を撫でた。
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DQ3外伝『小説』CONTENTS