どうして、こんな思いまでして、私は闘っているのだろう。 本当は、助けて欲しい。 ずっと、傍に居て欲しい……。 |
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「アイリ。 辛いだろうが……。」 クリスが語りかけてくる。 『ガイアの剣』を布で巻きながら、私は彼女に向き直り、無理に笑顔を作った。 「大丈夫。 私は大丈夫だから……。」 思えば、こんなに彼を好きになるなんて、思わなかったのかもしれない。 こんなに切なくて、辛くて、苦しくなるなんて、考えもしなかった。 丁度、オリビアの岬に付いてから二時間位前。 この『ガイアの剣』があったのは、 オリビアの岬から見える小島、『魂封じの牢獄』といわれる場所だった。 石畳の真ん中に下りの階段があり、そして……。 『私はサイモンの魂。 私の遺体の場所を調べよ。』 浮かばれぬ魂が私達の心に語りかけてきた。 魂は勇者サイモン。 もう1人の勇者・アクシズの、たった一人の父親。 魂に言われた通り、白骨化した遺体の場所を探す。 すると、鞘に収められた一振りの宝剣が見つかった。 徐に鞘から抜くと、刀身が冷たく輝く。 __これは『私の剣』じゃないんだ……。 剣は使い手を選ぶ。 少し残念だったけど、よくある事だから、素直に割り切れた。 でも、どうしても割り切れない事があった。 __アクシズはずっと信じて待っていた。 辛い。 心が痛い。 でも、アクシズはもっと辛い。 彼には母親も無く、父・サイモンを失った今、孤独の身となってしまった。 __彼の傍に居たい……。 同情している訳じゃない。 辛いのは彼なのに、すがりたい気持ちになってしまう。 「アイリは本当にアクシズが好きなんだな。」 鞘ごと『ガイアの剣』を抱き締めて俯く私に、クリスが微笑みかける。 だから、素直に頷いた。 |
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