大魔王ゾーマ討伐完遂。
天界の騒動も治まり、僕らはすっかり英雄扱い。
……て、訳でもないですが。
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「ディート。
 この書類、不備があるぞ?」

ダーマ神殿。
父・大神官バサラが数枚の書類を差し出しました。
でも、変ですね。
何度も見直した筈なのですが……。
受け取り、確認してみると『名前』は抜けているし、国名はアリアハンとだけ……。

「確かに書類不備ですね。
 ひょっとしたら、ルイーダの酒場でまた、
 転職者が無記名で再登録しちゃったのかも……。」

「いくら平和が戻って、勇者殿に呼ばれなくなっても、これじゃあいかん!!
 ディート。行って注意してきてはもらえぬか?
 我々も暇ではないとな。」

「はい。」

勇者といえば、アリアハン国では『オルテガ』様と『アイリ』さんです。
僕の親友『アクシズ』は、普通にいけば、
今は亡き勇者『サイモン』様の跡継ぎとして、
『サマンオサ国所属の勇者』になる予定だったのですが……。

「ディート。
 また、何処か行くのか?」

旅支度を整える僕に気付き、兄ファザードが声を掛けます。
兄さんは僕と同じ『生まれながらの賢者』で、次期ダーマ大神官です。
実践はあまりしませんが、魔法力は周囲が解かるほど強大ですよ♪

「はい。
 父上の言付けで、アリアハンへ……。」

「私も一緒に行こう。」

「え?
 兄さんも?」

驚いて見ますが、兄さんは穏やかな表情で言葉を続けます。

「たまには私も、外界を見た方がいいと、父上が言っておられた。
 確かに次期大神官として、外を見学するのも悪くない。」

そうですね。
それに、もうすぐアクシズとアイリさんの結婚式ですし……。
彼等はアリアハンに居るそうですから。

「分かりました、兄さん。
 一緒に行きましょう♪」

明るく頷くと、次に照れ臭そうな笑顔で兄さんは、
既に用意された自分の荷物を出してきました。
丁度僕も、支度が済んだので、行きましょうか……!!

後は、穏便に事が済むよう願って……。
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