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瞬間転移呪文『ルーラ』詠唱で、あっという間にアリアハンへ。 ただ、この移動用呪文。 消費魔法力が多めなので、何とか削減出来るよう研究中です。 他の世界では、微少の魔法力で使えるのだとか。 ……すいません。 直に説明したがる癖が抜けなくて……。 その所為か、アクシズから『歩く百科辞典』とも呼ばれていました。 「ルイーダの酒場だな。 酒場といえば、夜、開くものだが、昼に行っても大丈夫なのか?」 書類片手に、ファザード兄さんが心配顔になります。 苦笑しながら答えました。 「大丈夫ですよ。 あの酒場はギルドとは異なりますから。 冒険者の提供だけなら、昼でもやっています。」 酒場に入ると、思ったとおりお客さんがいません。 この分じゃ、冒険者達も閑古鳥なのかな……? 「あら〜〜〜、ディート君♪ 久し振りじゃない? また、書類不備かしら……。」 渋い顔で歓迎されても嬉しくないですが、 ルイーダさんの視線は兄に向けられていました。 「あら〜〜♪ 結構、いい男じゃない。」 「ルイーダさん。僕の兄です。」 「ファザード・エレメストです。 弟がお世話になっています。」 「この酒場のマダム・ルイーダよ♪ ファザードさん、宜しくね♪」 兄さんから差し出された手を握り締め、ルイーダさんが満面の笑みを浮かべます。 ですが、僕は仕事を続けないと……!! 「書類の件ですが、名前が無くて……。」 「ひょっとして、リオール・エクランブールさんの事かしら?」 「え?」 驚愕する僕に、ルイーダさんは後頭部を掻きながら、 面倒くさそうに説明しました。 「ルイーダの酒場の方針としては、 身分の高い者は登録させないつもりだったのだけど、 勇者オルテガ様が戻って来られたから、専用名簿を作ったのよ。」 でも、エクル大臣の孫娘として漏れると色々危ないから、 リオの個人情報は載せられない……て、訳ですね。 渡された名簿を見ると、確かに彼女の名前が。 でも、提出書類には何も書かれてない。 「そういう複雑な事情なら仕方ないですね。」 思わず皆で深い溜め息をついたけど、 コレはエクル大臣に直接注意したほうがいいのかな。 |
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