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結局、ギャンブル好きなロマリア王は、やはり格闘場におり、
いきり立って説教するアイリに負け、再び彼に王位を返すこととなった。

「陛下、いいかげんにして下さい!!
 もう、二度目です。
 三度目はありませんからね……!!」

「う、うむ。
 わかった。」

ところが王は、何故か残念そうに嘆息するアクシズに視線を移し、
笑顔でとんでもない事を言い始めたのである。

「これはこれは、アクシズ殿。
 久し振りではないか。
 もし、よろしければ、そなたも『王』になってみる気はないか?
 もちろんアイリ殿を『王妃』にしてな♪」

__!!!!?

思わず驚愕し、勇者2人は顔を真っ赤にし、互いに顔を見合わせる。
……と、アクシズは一瞬考えてしまった自分を恥じ、
ロマリア王に向かって強い口調で拒否する。
勇者2人に叱られ、しゅんとしてしまうが、開き直りの早い王のことだ。
面倒くさそうに『金の冠』を被ると、
城内の『謁見の間』目指して、大股で行ってしまった。

「やっと、この動きにくいドレスから解放されるわ……。」

苦笑し、アイリは袖のヒラヒラした部分に触れる。
アクシズは考え事でもするかのように、腕組をし天を見上げている。
その表情は迷っているようにも感じられる。
アイリは普通に問う。

「どうしたの?」

「いや。
 ロマリア国民が、何故か暴動を起こさないのには、
 こういう訳があったんだと思って……。」

「そうね。確かに、こんな経験中々出来ないだろうし。
 王様の気持ちが解かって良かったかもしれない。」

何故か真面目な話になり、中々本題を切り出せないアクシズは、
根っからの奥手である自分を恨む。
だが、意を決し、アイリの腕を掴むと、そのまま自分の腕の中に引き寄せた。
抱き締められ、驚愕したものの、少女は素直に、自分に身を預けてくる。

「綺麗だよ……。」

優しく耳元で囁かれ、くすぐったそうに顔を上げるアイリの唇を、
己の唇で捕らえるようかのに、アクシズは口付けた。

だが……。

アクシズの父・勇者サイモンの所在を、アイリが知ってしまうのは、
この直ぐ後の事だった。
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